府中市は、奈良・平安時代には武蔵野国の国府が置かれ、地域の政治、経済、文化の中心地となっていた街。江戸時代には甲州街道の宿場町として栄え、明治以降は郡役所が置かれて、多摩地域を代表する街のひとつとして発展してきました。市内には、さまざまな有形・無形の文化財があり、多摩川や武蔵野の緑といった自然も豊かで、落ち着いて暮らせる街として人気があります。そんな府中市の住みやすさや治安、家賃相場、物件価格をご紹介します。
ライター:立花裕子(MAP&NEWS.net)
CONTENTS
01| 府中市の概要:自然環境に恵まれ、生活の便利さも備えた人気の街
多摩川と街の風景
東京都の中央付近に位置する府中市は、人口約26万人(2023年2月1日時点)、面積約29.43平方km。武蔵野の豊かな自然と、その起源は111年までさかのぼる大國魂神社(おおくにたまじんじゃ)をはじめとする歴史的建造物や文化財が残り、かつ都心部へのアクセスも良好なことから、高度経済成長期以来、都心へ通う人たちに人気がある街です。
市の南側には多摩川が流れ、街なかには「府中の森公園」や「馬場大門のケヤキ並木」など、緑豊富な癒しスポットが点在。一方で、駅前にはショッピングセンターやレストラン、映画館をはじめとする娯楽施設が充実しており、便利で暮らしやすい環境となっています。
02| アクセスと主要駅:府中駅から新宿まで直行約25分でアクセスが可能
京王線府中駅
府中市内には、JR南武線、JR武蔵野線、京王線、西武多摩川線の4路線が通っています。市の中心に位置するのは、京王線府中駅とJR府中本町駅。府中駅は、特急や準急の停車駅となっており、利用できる本数も豊富。新宿まで直行約25分でアクセスが可能です。
JR府中本町駅
府中本町駅から南武線を利用すれば、武蔵小杉まで約35分、川崎まで約50分、横浜まで約55分と、神奈川方面にもスムーズにアクセスできます。
03| メイン駅周辺の様子:買い物は府中駅周辺が便利
府中駅南口
府中駅周辺には商業施設が集中しており、日常生活での買い物はもちろん、休日に家族でショッピングに行くのにも困りません。駅ビルの「ぷらりと京王府中」は、各国料理のレストランやカフェ、ファッション&生活雑貨、100円ショップ、書店などが入ったショッピングセンター。駅南側の複合商業施設「くるる」には、映画館や医療機関、各種食料品店、アミューズメント施設などもあり、休日には多くの人でにぎわっています。また、コープやオオゼキ、ストックマート、成城石井、北野エースといったスーパーも充実しており、便利さが際立っています。
04| 治安:犯罪認知件数は、23区を除く東京都の市町村で多い方から4番目
警視庁が発表している「市区町丁別、罪種別及び手口別認知件数」によると、2022年の府中市の犯罪認知件数は1,114件。23区を除く東京都内の市町村としては、八王子市、町田市、立川市に続いて4番目の多さとなっています。内訳としては、自転車泥棒や万引きなどの非侵入窃盗が最も多く、全体の約68%。強盗等の凶悪犯は3件のみで全体の約0.2%、暴行や傷害といった粗暴犯は89件で全体の約8%を占めています。東京都全体では、凶悪犯は全体の0.8%、粗暴犯は8.7%ほどなので、凶悪犯や粗暴犯は少なめといえるでしょう。
エリア別でみると、JR府中駅の西側と北側、JR分倍河原駅の東側のエリアが、他の地域に比べれば犯罪件数が多めです。
05| マドリーム厳選、歴史が残り子どもと楽しめる休日のお出掛けスポット3選
府中市の魅力は、日常の中で豊かな自然と歴史を感じられるところ。家族でのお出掛けにぴったりな、子どもとゆっくり過ごせる休日のお出掛けスポットを紹介します。
①国の天然記念物に指定される緑のトンネル「馬場大門のケヤキ並木」
馬場大門のけやき並木
写真提供:府中観光協会
大國魂神社の大鳥居前から北にまっすぐのびる「馬場大門のケヤキ並木」は、源頼義・義家親子が奥州征伐(1051~1062年)に赴く途中、大國魂神社に戦勝を祈願し、凱旋時に1000本のけやきを奉納したことが発端と伝わる歴史ある並木道。その後、徳川家康が江戸に幕府を開いた祝いとしてけやきを補植し、さらに関ケ原・両大阪の陣の戦勝御礼として、両側に馬場を寄進しました。
現在の並木は、最も古い木で樹齢600年ほど。数本残る江戸初期の木をはじめ、約110本のけやきと10本ほどのその他の木が植えられて、涼やかな緑のトンネルを形作っています。
なお1924年に、けやきの並木道としては全国で唯一、国の天然記念物に指定されています。季節に応じて、マルシェやサイクリングフェスティバルなど、さまざまなイベントの会場としても利用されており、市民の憩いの場として親しまれています。
②約80万人の見物客でにぎわう大國魂神社の例大祭「くらやみ祭」
くらやみ祭
写真提供:府中観光協会
毎年4月30日~5月6日に行われる大國魂神社の例大祭で、都指定無形民俗文化財に指定されています。祭りのメインイベントは、5月5日の夜に行われる神輿渡御。これがかつては、深夜に街の明かりをすべて消した暗闇の中で行われていたことが、祭りの名前の由来となりました。
祭り期間中にはさまざまな行事が行われ、烏帽子・直垂姿の騎手が馬を駆けさせる「競馬式(こまくらべ)」、手づくりの萬灯(まんとう)のでき栄えや操る人の技を競う「萬灯大会」、旧甲州街道とけやき並木を中心に、22台の山車がお囃子を奏でながら巡行する「山車行列」、勇壮な「神輿渡御」など見どころがいっぱい。毎年約80万人もの人出でにぎわい、期間中は、町全体がお祭りムードで盛り上がります。
③夏は水遊びもできるファミリースポーツ公園「府中の森公園」
府中の森公園
写真提供:府中観光協会
府中市の中心街から1.5kmほどの場所にあるファミリースポーツ公園。園内には、緑豊かな「武蔵野の森」をはじめ、ゆるやかな傾斜を利用した芝生の広場、「流れ」や「じゃぶじゃぶ池」といった水辺があり、夏場は水遊びも楽しめます。また、サッカー・ホッケー場やテニスコート、ジョギングコース、小野球場など、スポーツ施設も充実。敷地内には「府中市美術館」も建っており、市民が芸術に親しむ場にもなっています。
家族連れで散策やスポーツを楽しみ、お昼には小高い丘の広場でのびのびお弁当タイム。そんな風に多くの人に親しまれている、市民の憩いの場所です。
06| 独自の支援制度:行政と市民が力を合わせて地域の課題を解決する「市民協働都市」
府中市は、2014年10月に「市民協働都市宣言」を行い、行政と市民が対等の立場で、役割分担のもとにそれぞれの能力を生かし、協働して地域の課題を解決していく「市民協働」を推進していくことを内外に表明しました。市民活動のポータルサイト「プラnet」には、500以上の団体が登録されており、教育、国際協力、学芸、スポーツ、子育てなど、幅広い分野で活動。イベントやワークショップに参加したり、興味のある分野の団体に参加したりすることで、誰もが町づくりに関わっていける環境が整っています。
また、東京都共通の子育て支援策として、子どもが18歳の3月31日を迎えるまでは子どもにかかった医療費の自己負担分が助成される、ひとり親家庭等の場合は、保護者と子どもにかかった医療費が助成されるといった制度を完備。加えて2022年度は、府中市独自の子育て支援策として、「府中市子育て応援臨時特別給付金」の支給も行われています。
07| 府中市に住みたいと思ったら、知っておきたい家賃相場や物件の価格帯
府中市の賃貸物件の家賃相場は次の通りです。
1LDK:108,900円
2DK:81,100円
2LDK:139,900円
3DK:99,100円
3LDK:195,400円
また、府中市の新築・分譲一戸建ての価格相場は4,000~7,000万円台、
中古マンションの価格相場は、4,000万円台となっています。
府中市の1LDK・2LDKの家賃相場を近隣の市と比較すると、調布市、国分寺市よりは1~2万円安い傾向があります。国立市とはほぼ同水準か、やや府中市の方が高め。小平市や日野市に比べると、1~2万円程度府中市の方が高めです。
この記事を書いた人
立花裕子(MAP&NEWS.net) ライター