葛飾区は、東京都心のベッドタウンであり、下町の雰囲気が色濃く残る場所としても知られる街。区内には、映画『男はつらいよ』で放映された当時そのままの、レトロな雰囲気を持つ「柴又帝釈天門前参道商店街」や元気あふれる商店街がある一方、主要な駅前には大型複合商業施設なども充実していて、暮らしやすい環境が整っています。都心に近い便利さと、どこか懐かしい下町の風情をあわせ持つ葛飾区の、住みやすさや治安、家賃相場、物件価格をご紹介します。
ライター:立花裕子(MAP&NEWS.net)
CONTENTS
01| 概要:身近に下町のにぎわいや自然がある街
水元公園
© (公財)東京観光財団
葛飾区は、2023年4月1日時点で人口約46万5,285人。面積は34,80平方kmで、人口規模では東京23区中、多い方から9番目になります。西は荒川を挟んで墨田区と、東は江戸川を挟んで埼玉県松戸市と接しており、北部には「水元公園」が広がる、23区内にも関わらず豊かな自然に恵まれた地域です。
東部にある「柴又」は、『男はつらいよ』のロケ地であり、今も昭和レトロな街並みが残るエリア。北部の「亀有」は、人気漫画『こち亀(こちら葛飾区亀有公園前派出所)』の舞台として知られ、商店街「ゆうろーど」などを中心に、元気な下町として人気があります。
一方、区内の大部分は落ち着いた住宅地。新小岩駅前などでは再開発も進められており、タワーマンションの建設計画なども進んでいます。
02| アクセスと主要駅:東京駅や新宿駅、羽田・成田両空港にアクセス至便
JR金町駅
葛飾区は、北部にJR常磐線、南部にJR総武線が東西に走り、縦横に京成電鉄各線が走っているため、東京都心に向かうのは非常に便利です。JR金町駅から大手町までは、常磐線・東京メトロ千代田線の直通運転により、乗り換えなしの約30分でアクセスが可能。JR新小岩駅から東京駅へは快速で約13分、新宿駅へは各駅停車で約35分で、いずれもダイレクトアクセスできます。
京成電鉄青砥駅
空港へも、京成電鉄青砥駅からエアポート快特と直通運転するアクセス特急に乗れば、羽田空港まで約1時間。スカイライナーに乗れば、成田空港まで約36分と、どちらの空港へのアクセスもスムーズです。
03| メイン駅周辺の様子:大型店舗と商店街の両方が利用可能
新小岩駅前北口広場
葛飾区内の各駅前にはどこも商店街がありますが、特に店舗数が多いのは、JR新小岩駅やJR亀有駅、JR金町駅などの周辺エリアです。
新小岩駅には、2023年冬に駅直結の複合商業施設が開業予定で、ますます便利になります。駅南口から少し進めば、個人店からチェーン店まで多彩な約140店舗が集まり、ジャンルも豊かな商店街「新小岩ルミエール商店街」があります。駅の北側には、業務スーパーや大型スーパーもあり、こちらも毎日の買い物に利用できます。
金町駅周辺は、駅の北側の「東急ストア金町店」や、南側の京成金町駅の隣の複合ビル「ヴィナシス金町」がショッピングスポット。2021年に金町駅前にオープンした「ベルトーレ金町」でも、パンや惣菜などを購入できるほか、3階には、区民がふらっと立ち寄れるスペースとして、無料で使える大型玩具のあるキッズスペースやロビー、ギャラリーなども揃っています。
04| 治安:犯罪認知件数・凶悪犯発生率は23区の平均よりやや低め
警視庁が発表している「令和4年市区町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」によると、2022年の葛飾区の犯罪認知件数は2,316件で、23区内では少ない方から10番目です。人口1,000人当たりの犯罪認知件数を見ると、23区の平均が4.8件、葛飾区は5.0件なので、葛飾区はほぼ23区の平均水準といえます。
犯罪の発生場所をエリア別に見ると、JR金町駅の北側、JR亀有駅周辺、JR新小岩駅周辺は、ほかのエリアに比べて、明らかに発生件数が多めです。そのほかのエリアは特に目立つほどの違いはありません。犯罪内訳では、凶悪犯は13件、全体に占める割合は0.6%ほどで、23区平均の約0.8%に比べれば、低い数字になっています。
05| マドリーム厳選、休日にもいきたい商店街3選
各駅周辺に商店街があり、買い物にはとても便利な葛飾区。地域ごとにカラーが違ってそれぞれ違う魅力があるなかで、休日にも行ってみたい商店街3選を紹介します。
①『こち亀』のイベントも開かれるにぎやかな商店街「ゆうろーど(亀有銀座商店街)」
ゆうろーど
JR亀有駅南口からまっすぐ南へのびる通りと、その周辺の通りに広がる商店街。全長約200mの商店街と約120mのアーケード商店街からなり、生鮮食品から日用雑貨、美容、服飾、下町グルメやレストラン、クリーニング、各種医療機関に至るまで、多彩な店舗が揃っています。
商店街の中央には、人気漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の主人公・両さんの少年時代をイメージした「少年両さん」像が。夏休みなどには、商店街を含む亀有駅周辺に点在する『こち亀』キャラの銅像を巡るスタンプラリーイベントなども開催されています。
②映画『男はつらいよ』の舞台としても知られる「柴又帝釈天門前参道商店街」
柴又帝釈天門前参道商店街
京成電鉄柴又駅から柴又帝釈天へと続く約200mほどの参道は、まるで昭和にタイムスリップしたかのような、レトロな街並みが残る場所。一帯は「葛飾柴又の文化的景観」として、都内初の国の重要文化的景観に指定されています。
参道の両側には古い木造建築の店舗が並び、老舗の天ぷらや蕎麦、ウナギ・ドジョウ料理を味わったり、名物の草団子や煎餅などの食べ歩きを楽しめます。
佃煮や漬物、くずもち、飴など、土産品も揃っており、下町ロマン溢れる街並みは、映画『男はつらいよ』の舞台としても有名。参道入口にあたる柴又駅前には「寅さん」とその妹の「さくら」の像があり、撮影スポットになっています。
③新旧約140店舗が入り混じり、毎日多くの人々でにぎわう「新小岩ルミエール商店街」
新小岩ルミエール商店街
JR新小岩駅南口に広がる駅前広場の先にある、約450mに渡って南へとのびるアーケード商店街。「新小岩銀座商店街」と「新小岩ドリームウェイ商店街」の2つの商店街からなり、約140店舗が軒を連ねています。コロッケや焼き鳥など、惣菜を扱う店が充実しており、肉屋、魚屋、八百屋、スーパーマーケットから100円ショップ、ドラッグストアといった、日々の買い物に便利なお店がいっぱい。飲食店では、タイやベトナム、中華といったアジア系のレストランがあり、本場の味が楽しめます。
夏とクリスマスの「チャンスセール」、春と秋の「大江戸よしむねまつり」をはじめ、餅つきやさくらまつり、収穫祭、イルミネーションなど、季節のイベントが盛りだくさんなのも魅力のひとつ。地元の人々に愛される、活気のある商店街です。
06| 独自の支援制度:家事サポーター派遣費用助成など、独自の子育て支援策を展開
葛飾区は、東京23区内でも屈指の「家を持ちやすい街」。東京新聞によると、2022年5月現在で持ち家率は50.7%に達し、23区中第1位となっています。
子育て支援にも力を入れており、「かつしか育児7つの安心」を掲げて、妊娠・出産~子育てまで、いつでも相談できる体制を完備。多胎児家庭が安心して子育てできるよう支援するための家事サポーター派遣費用の助成や、1世帯あたり24,000円の「多胎児家庭応援券(こども商品券)」の配布、多胎児を妊娠している人向け妊婦健診診査費用の一部助成などを行っています。
また、子どもとの外出についての不安解消を目指して、一部の公共・民間施設内にオムツ替えや授乳ができるスペースを設置する「赤ちゃんの駅」を展開。3歳未満の子どもがいるすべての世帯へ向けて、家事サポーター派遣費用の助成制度もあります。
07| 知っておきたい家賃相場と新築物件の価格帯
葛飾区の賃貸物件の家賃相場は次の通りです。
1LDK:111,400円
2DK:87,800円
2LDK:179,300円
3LDK:221,100円
葛飾区の新築・分譲一戸建ての価格相場は、2,000~8,000万円台です。
中古マンションの価格相場は、以下のようになっています。
5~10年以内:4,000万円台
10~15年以内:4,000万円台
15~20年以内:4,000万円台
20年以上:3.000万円台
葛飾区内でも、路線や場所によって賃貸相場にはばらつきがあります。駅周辺別の2LDK家賃相場で比較すると、JR常磐線の金町は166,600円、JR総武線の新小岩は238,400円、京成高砂は210,300円、柴又は195,200円、堀切菖蒲園は184,200円となっており、新小岩駅周辺は家賃が高い傾向が見て取れます。
この記事を書いた人
立花裕子(MAP&NEWS.net) ライター