公開日: 2022.08.23 最終更新日: 2023.10.26

【スーパーマーケット研究家・菅原佳己さん監修】おいしいはご当地スーパーにある① 宮城・仙台「主婦の店さいち」の五目煮

【スーパーマーケット研究家・菅原佳己さん監修】おいしいはご当地スーパーにある① 宮城・仙台「主婦の店さいち」の五目煮

右上から時計回りに「五目煮(小)」、「ほっきごはん」、「おはぎ」

未知なるおいしさにワクワクしたい時。ごはんから、少しだけ心にも栄養がほしい時。その街に行かなければ味わえないご当地の味で、ほっと和んでみるのはいかがですか? 日本各地のスーパー好きが高じて「スーパーマーケット研究家」となった菅原佳己さんが監修するご当地スーパーの“おいしいもの”連載がスタート。第一回は、宮城県・仙台市「主婦の店さいち」の美しい五目煮をご紹介します。

監修:菅原佳己

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01| 今回紹介するご当地スーパーの味は、美しい五目煮

記念すべき第一回目に紹介するのは、宮城県仙台市にある「主婦の店さいち」の五目煮。料理をする方ならこの煮物にかかる手間と美しさ、すぐにわかりますよね。

02| さいちの名物は1日に25,000個売れた「おはぎ」

五目煮について詳しく紹介する前に、まずは、仙台市郊外の秋保温泉にあるスーパーマーケット「主婦の店さいち」の代名詞、おはぎを紹介します。人口4,300人ほどの町で、平日は平均5,000個、最高で1日に25,000個売り上げたことがあるという、全国的に有名な味です。

ボリュームもしっかりある「おはぎ」 ボリュームもしっかりある「おはぎ」

名物おはぎの名物たる所以は、無添加・手づくりのため賞味期限は当日のみという点と、ほかにはない魔法のような味わいにあります。塩気のあとにほんのりとした甘さを感じるあんこはやわらかく炊きあげられてみずみずしく、小豆本来の風味が生きています。これ以上はないと思われる完璧なあんことご飯との黄金バランスで、あっという間に1個を完食。そして、ためらいなく、2個目に手が伸びてしまう。それが、さいちのおはぎマジックです。

03| つやつやと神々しいオーラを放つ「五目煮」

同じ魔法で人々を夢中にさせているのが、お惣菜の数々です。店のバックヤードで手づくりされるその味は「毎日食べても飽きないおいしさ」で、地元のファンを惹きつけています。なかでも見た目も味もいいと人気なのが「五目煮」。家庭的なのに真似できない味だと、惣菜の中で一番の人気となっています。

具材はなんと8種類。つやつやとして美しい煮物 具材はなんと8種類。つやつやとして美しい煮物

「五目煮」は大、中(2種)、小サイズとあり、写真は一番小さな小サイズで280円。1~2人でつまむのにちょうどよい量ですが、その内容は価格以上です。じつはすべての具材は、素材の味を最大限に活かせるよう、別々に煮られています。具材の下にあり見えませんが、輪切りの大根2個はジュワッと染み出る出汁のうまさ。その上に乗った竹の子の土佐煮、人参、バラバラにならないよう一切れずつ楊枝で留められ甘辛く煮付けた油揚げ、絹さや、練り物入り油揚げ、結びしらたき、干し椎茸(※具は季節や日によって少々変更はあります)と、全8種。これが、大サイズになれば量だけでなく、大きな帆立貝やフキ、ゆで卵がプラスされ、プレミアム感も増します。

「五目煮は、じつはおはぎよりも前から、さいちの顔」と言うのは、佐藤浩一郎社長。「主婦の店さいち」は、大正初期に創業した「佐市商店」が前身です。スーパーマーケットに転換させたのが、現社長の両親である、啓二(前社長)さんと澄子(前専務)さんでした。「大きなスーパーが真似できない、家庭と同じ手間と味で勝負」と澄子さんが丁寧に調理したのが、さいちの惣菜の始まり。温泉町のため、旅館で働く人たちを中心にさいちの惣菜が浸透していったのです。

スーパー開業から3年後の1982(昭和57)年。さいちの惣菜として「おはぎ」が登場したのは、澄子さんが常連さんから「孫が遊びに来るのでおはぎをつくってほしい」というリクエストからでした。澄子さんは、家でつくったおはぎの味を大切にし、甘さ控えめなのに無添加のおいしいおはぎをつくり上げました。

04| 三つ葉とわさびがさらりと香る「ほっきごはん」も見逃せない

じつは、ご飯ものも得意なさいち。「ほっきごはん」もおすすめです。ほっきめしは、本来は宮城県沿岸の亘理(わたり)エリアの郷土料理で、ほっき貝を煮た出汁でご飯を炊き、ほっき貝をのせたご飯です。さいちでは、その郷土料理をアレンジして、美しく盛りつけています。ポイントは、時々香る三つ葉やわさびの風味。一段と食欲が増す瞬間です。

ほっきごはんは色どりも楽しい ほっきごはんは色どりも楽しい

啓二前社長と澄子さんが「家庭の味がライバル」と定め、ともに目指したさいちの味は、家庭的なのに真似できない手間暇かけた味わいとなって開花。今日も人々を魅了しています。2020年に澄子さんは他界されましたが、その味と精神は、今もさいちのお惣菜とおはぎに生きており、次世代に引き継がれています。そして、今日も県内外から多くのファンが、温泉町の小さなご当地スーパーめがけてやってくるのです。もちろん、賞味期限は当日限り。買ったらすぐに食べてくださいね。

(上から)
秋保おはぎ(2個入り)250円
ほっきごはん(大)600円
五目煮(小)280円
(上から)
秋保おはぎ(2個入り)250円
ほっきごはん(大)600円
五目煮(小)280円

05| 「主婦の店さいち」店舗情報はこちら

主婦の店さいち
住所:宮城県仙台市太白区秋保町湯元薬師27
電話:022-398-2101
営業時間:9:00~19:30
定休日:第2・第4水曜日(祝日の場合は営業)

※価格は取材時の税込み価格です。予告なく、価格や商品仕様の変更、取り扱いの有無が生じることがあります。

06| 仙台市のことならおまかせ! おすすめの不動産会社&工務店

仙台市で暮らすなら、その街をよく知る人に聞くのが一番。マドリームがおすすめする不動産会社をピックアップしています。

菅原佳己

この記事を書いた人

菅原佳己 監修

すがわら よしみ
スーパーマーケット研究家。家族の転勤で国内外の転居を繰り返すうちに、スーパーの魅力に気づき、埋もれた日常食の発掘などの研究をスタート。ご当地スーパーやご当地グルメブームの火付け役として、テレビや雑誌、新聞などで活躍している。2019年7月には一般社団法人「全国ご当地スーパー協会」を設立し、新たなる活動を開始。著書は『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』(講談社)、『47都道府県 日本全国地元食図鑑』(平凡社)など多数。

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