毎年冬の寒さで億劫になるこの季節。寒さを乗り切るために欠かせないのが暖房機器です。エアコンやガスヒーターのほかに、よく耳にする「薪ストーブ」や「ペレットストーブ」。今回はその導入に際してのメリット・デメリット、お手入れのしやすさなどを徹底解説していきたいと思います
CONTENTS
01| 最近注目の薪ストーブ、ペレットストーブを知っていますか?
今年に入り、電気料金やガス料金をはじめ身の周りのほとんどが値上がりし、わたしたちの家計を圧迫しています。夏の猛暑の次は冬の寒波で、体調を崩している方も多いのではないでしょうか。今シーズンの寒さに備えてすでに電気ストーブやエアコンを購入された方もいると思います。まだ購入されていない方は、ぜひこの機会に「ペレットストーブ」「薪ストーブ」ついてご一読頂ければと思います。既に購入されている方も必見です!
02| 薪ストーブ、ペレットストーブの違いは?
薪を燃料とする薪ストーブ
まず「薪ストーブ」とは、電気を使わず煙突内で発生するドラフト(上昇気流)のみで火を起こす暖房器具です。簡単に言えば薪を燃やし、その熱で暖をとる仕組みです。
エアコンや石油ストーブのように温風を出して室内を温める暖房機器とは違い、また焚き火や暖炉のように裸火の熱で暖まるものとも異なります。薪を炉内で燃焼させ、ストーブ本体を熱することで、そこから発する輻射熱によって人や物が暖まる‟輻射熱式”と、熱せられた空気の移動で暖める”対流熱式”とがあります。
<Check>
輻射熱(ふくしゃねつ)とは…
太陽の暖かさや炭火と同じ遠赤外線の熱線のこと。からだの奥まで浸透することで芯から暖まって冷めにくく、壁や床の内部まで遠赤外線が到達するため部屋全体の温もりが持続します。
木質ペレットを燃料とするペレットストーブ
一方「ペレットストーブ」とは、木質ペレットを燃料とし、給排気を電気(ファン)で強制的に行う暖房器具です。炎で暖められた温風とガラス面から発せられる輻射熱の両方で部屋を暖かくする仕組みです。また着火や消化がスイッチ操作で可能で、かつ、燃料供給も自動で行われます。薪ストーブと石油ファンヒーターのよい所を合わせ持ったストーブともいえます。
「ペレットストーブ」の多くは電気でファンを回すことで強制的に気流を起こして給排気を行う‟FF式“と、排気のみ強制的に行う‟FE式”と2種類あります。そのため煙突工事の必要がなく、給排気管を屋外に出すだけで簡単に設置が可能です。電気が不要な‟自然通風式“のものもありますが、薪ストーブ同様に煙突工事が必要になります。
ペレットストーブの仕組み
03| 薪ストーブのメリット&デメリットを紹介
薪ストーブのメリット
メリット①香りや炎の美しさを感じられる
薪の違いによって楽しめる香りや炎の違いが魅力です。ゆらゆらとした炎の揺らぎには精神安定効果もあるとされています。
メリット②料理に活用できる
オーブン機能付きの機種が豊富。薪ストーブクッキングの本も多く、煮込みからグリルまで電気・ガスでは出来ない本格調理が可能となります。
メリット③高い暖房能力を持っている
家一棟を暖めることを前提に作られているため、電化製品の暖房能力より格段に優れています。
メリット④イベントとして家族と一緒に楽しめる
薪集めや薪割り、着火などみんなが参加でき、家族の冬のイベントの一つになることも。お子さんにとっての火の教育にもなります。
炎のゆらぎに心癒される
薪ストーブのデメリット
デメリット①薪の調達に手間がかかる
購入だけで賄う場合は、使用頻度によってはかなり高額となってしまうことがあります。自分で賄う場合も時間と労力に加え、チェーンソーやヨキなどの道具と、燃料となる薪を乾燥・貯蓄しておく場所が必要となります(平均1年程度の乾燥が必要)。
デメリット②初期費用と設置条件をクリアする必要がある
100万円前後の初期投資が必要となるほか、賃貸や住宅街での設置など住環境によっては断念せざるを得ないケースもあります。基本的にマンションでは設置ができません。
デメリット③手間ひまがかかる
着火・薪をくべる、など、自動で運転してくれる暖房器具に比べてかなり手間がかかります。ある程度ライフスタイルに余裕がないと負担に感じることがあります。
デメリット④メンテナンスがかかる
トラブルを防ぐためにシーズン終わりの煙突掃除が必須。横引き部の長い配管によっては、月に1回のペースで掃除が必要となるケースがあります。
割薪は乾燥・貯蓄しておく必要がある
04| ペレットストーブのメリット&デメリットを紹介
ペレットストーブのメリット
メリット①設置が簡単
床や壁への耐火工事が不要で、畳の上でも使用ができます。またエアコン並みの簡単な短時間での設置が可能で、マンションに設置できるケースもあります。
メリット②手や部屋の空気が汚れない
ファンヒーターではあるものの、排気されるため、煙がたちこめず、室内の空気をクリーンに保つことができます。また燃料のペレットを本体に投入するだけなので、手が汚れる心配がありません。
メリット③手離れがよい
忙しい朝でもスイッチ動作一つで運転を開始できます。燃料も自動供給で手間もかからず、外出時もスイッチオフで消化が可能です。ペレット燃料は、製材工場で発生する端材などを砕き固めて、直径1㎝程度の円筒形にした燃料。木を圧縮しているので、薪ほど場所もとらず燃焼効率もよいです。
メリット④見える炎で暖まる
家電のような手軽さを持ちながら、遠赤外線効果で体が芯から暖まり、炎のゆらめきを楽しめます。
木を圧縮したペレット
ペレットストーブのデメリット
デメリット①動作音が出る
スイッチを入れると排気ファンを回すためのモーター音が出てしまいます。改良が重ねられているものの、まだ現時点では完全な無音にすることはできていません。
デメリット②着火前は毎回掃除が必要
灰掃除を怠ると着火不良や燃焼不良の原因になってしまいます。あと窓ガラスも拭き掃除をしなければせっかくの炎が見えないのが難点です。
デメリット③暖まり方に即効性がない
家の構造にもよりますが、暖かさが実感できるのは平均的に運転開始後15分~30分程度の時間が必要になります。機種によっては広範囲の部屋を暖めることが難しいものも。
デメリット④料理に活用できない
本体の上部は熱くならないため、基本的にやかんを置いても沸かすことはできません。中にはオーブン付きの機種や調理もできるものもありますが、多くのものは調理対応ができません。
デメリット⑤専用のペレット燃料を購入する必要がある
ペレットストーブは薪ストーブと違い、専用のペレット燃料を使うため、事前に購入しておく必要があります。また1時間あたり燃料1㎏ほど燃焼するので、一日10時間ほど運転するには約1袋分のペレット燃料が必要になります。
05| まとめ
薪ストーブとペレットストーブの違いやメリット&デメリットをご紹介しました。後編では、ファーストコストやランニングコストについてご紹介いたします。