公開日: 2023.05.01 最終更新日: 2023.10.26

スケルトンリフォームで理想の暮らしを実現。リフォームとの違いやメリット・デメリットも解説

スケルトンリフォームで理想の暮らしを実現。リフォームとの違いやメリット・デメリットも解説

春は子どもの進学・就職・勤務先の異動などで、ライフスタイルも大きく変化する時期です。新生活を前に、おうちをもっと快適にリフォームしたいと思われている方も多いのではないでしょうか。リフォームについてネットで調べると目にする「スケルトンリフォーム」という言葉。よく聞く「リフォーム」と何が違ってどういったものなのか。また、メリット・デメリットや費用など、基礎知識から順を追って解説していきたいと思います。

Smau design(スマウデザイン):大景祥

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01| スケルトンリフォームとは

近年、新築住宅よりも中古住宅を購入してリフォームする方法を選ばれる方が増えています。そんなリフォーム需要が高まる中、人気を博しているのが「スケルトンリフォーム」です。英語の「スケルトン(skeleton)」という言葉の通り、骨組みだけを残して内装材や設備機器をすべて解体・撤去して行うリフォームのことです。ここでいう骨組みとは建築用語でいう土台や柱・梁、横架材(梁など水平方向に渡された部材)など主要構造部材とよばれる建物を形成する骨格のこと。内装材とは具体的に床・壁・天井材をはじめ、間仕切り壁や外壁などのことで、規模によっては外壁や屋根材まで解体して行うケースもあります。

ただし、建物の構造によって手法や範囲も変わり、マンションなどの鉄筋コンクリート造の場合は床・壁・天井のコンクリート素地を現わしにして、それ以外のすべての部材を解体して行います。

木造家屋のスケルトンリフォームの様子 木造家屋のスケルトンリフォームの様子

マンションなどのスケルトンリフォームの様子 マンションなどのスケルトンリフォームの様子

02| リフォームやフルリフォームとの違い

じゃあ「リフォーム」と「フルリフォーム」はどう違うの?

そう疑問に思われているかもしれませんが、簡単に言うと”範囲“の違いです。「リフォーム」とは、一般的に部分修繕の意味合いで使われ、「フルリフォーム」とは、建物全体の大規模修繕を意味します。

そして「フルリフォーム」と「フルスケルトンリフォーム」についてですが、実は両者は明確に区分されているわけではありません。なので「スケルトンリフォーム」は「フルリフォーム」のなかの一種だと覚えて頂ければ大丈夫です。建築会社によってはそのあたりの解釈が混同していたりするので、認識の違いに注意が必要です。

そのほかに「リノベーション」という言葉も、近年耳にすることが多くなりました。また、「フルリフォーム」と同じように「フルリノベーション」という表現も目にしたこともあるかと思います。こちらも混同されがちですが、少しだけ意味合いが違い「フルリフォーム」は古くなった空間を全て新しくしたり、原状回復するための工事を指し、「フルリノベーション」は快適で住みやすい空間に一新する意味合いのほか、建物自体に新たな付加価値をつくりだす工事のことを指します。

リフォームとリノベーションの違いは? 種類についても解説

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03| スケルトンリフォームのメリットは?

メリット・デメリットについて探ってみましょう。

多額の費用がかかる工事になりますので、それぞれの特徴にしっかりと目を通してください。

メリットについては、以下の様な点があげられます。

メリット①間取りを大幅に変えることができる

家族の増加や子どもの成長とともに、ライフスタイルも日々変わっていきます。空間の活用方法やお部屋の大きさなども、現在は快適でも、状況に応じて使いづらく、利便性の悪い空間に変化することもあります。

「スケルトンリフォーム」は骨組みだけを残して、内部を一から全て新しくしていけるので、間取りの変更はもちろん、部屋の大きさやキッチンやトイレ等の水廻りの位置など、大規模な変更ができ、フレキシブルなプランニングが可能なのも魅力のひとつです。例えば、お子さんが中学生になるタイミングで専用の子供部屋を新しくつくりたい時や、ご両親との同居のタイミングでバリアフリーにしたい時などに最適です。

ライフスタイルに合わせて間取りを検討できる ライフスタイルに合わせて間取りを検討できる

浴槽なども取り外し、大きく生活動線を変えられる 浴槽なども取り外し、大きく生活動線を変えられる

メリット②再建築不可建物でも新しくすることができる

新築や増改築などを行う場合、建築できる要件として“接道義務”というものがあります。これは敷地が法定道路(幅4m以上)に2m以上接した土地であることが要件の一つとなり、これに該当しない敷地は避難経路の確保ができないエリアとして建築ができません。このような敷地を「再建築不可」と呼びます。

本来であれば建築できない敷地であっても、確認申請のいらない「スケルトンリフォーム」であれば、既存の建物の骨組みを活用して、快適で暮らしやすい新たな空間を生み出すことができます。ただし、工事に際しては工事車両が通れない、資材の搬入ができない等の制約も発生したり、私道を介しての通路利用になるなど、トラブルを未然に防ぐためにも事前調査と近隣の方のご理解が必須です。

メリット③床面積を維持したまま改装できる

建物を建てる際は、建築基準法と呼ばれる法律のもと建築物や敷地自体に規定が定められています。制定された昭和25年から災害や事故が起こる度に法改正が行われながら、建築制度が見直されてきました。

建築当時は合法であった建物がその後の法改正により不適格とみなされる建物のことを「既存不適格建築物」といいます。基本的にマンションや戸建て住宅などは建築されるタイミングでの法律にのっとり築造されます。しかし、古い建物は当時の規定にしか合っておらず、新築・増改築等を行う場合は現行の法律に合わせる必要があるのです。

前項にて“接道義務“という規定をご説明しましたが、そのほかに、道路中心線から2m以上の通路の確保を要する規定(セットバック)や、外壁を敷地境界線から1mもしくは1.5mの後退を要する規定(外壁後退)、斜線規制など様々な要件をクリアする必要があるのです。すると建築できる面積が既存の建物より小さくなってしまい、使いにくい建物になってしまいます。ですが、「スケルトンリフォーム」の場合、現行法は遡及されず元々の床面積を維持したまま一新できるので、古築の場合でも最大限空間を活用できるのが一番のメリットだといえるでしょう。

メリット④劣化した設備配管や電気配線を新しくできる

どんなものでも長年使い続けると少しずつ劣化してしまうもの。建物も同様で、見た目は綺麗な外観であっても内部は老朽化しています。トイレやキッチン等の給排水配管や電気配線なども、年月とともに古く壊れやすい状態になり、場合によっては目には見えない箇所が破損してしまっていたりと、小さな箇所から大きなトラブルになり得るケースもあります。

「スケルトンリフォーム」であれば、設備機器と合わせて設備配管や電気配線などを丸々新しいものに取り換えることができます。部分リフォームでは目に見える範囲でしか確認できませんが、大規模リフォームであれば、普段では確認することのできない内部まで一新できる点が大きなメリットと言えるでしょう。また、配管や配線の位置を好きな場所に変更することができるのも魅力のひとつです。

メリット⑤耐震補強や断熱対策など建物の機能性をUPできる

人は歳をとると足腰や内臓機能が衰えていきます。同じく、建築物も歳月とともに耐久性や性能なども衰えてしまいます。骨組みの状態で各部位を確認できるのも「スケルトンリフォーム」の利点です。

寒さ暑さ対策には、床や壁・天井内部に高断熱材を敷設したり、高気密設備を取り入れることで快適で環境に優しく、何より冷暖房効果を高めることで、省エネで電気代やガス代の節約にもつながります。また、部分リフォームでは限られた範囲での耐震補強しかできませんが、建物全体に筋交いや金物補強、さらに耐震ダンパーや制震ダンパーの設置など、可能な限り耐震性能を向上させることができるので、結果的に家族みんなが安心して暮らせる住空間をつくることが可能となります。

スケルトンリフォームをした事例。部屋の中央にブランコを設置して、子どもがのびのびと遊べる部屋に スケルトンリフォームをした事例。部屋の中央にブランコを設置して、子どもがのびのびと遊べる部屋に

04| スケルトンリフォームのデメリットは?

デメリットについても予備知識として覚えておいてください。

デメリット①部分的なリフォームに比べてコストがかかる

規模や範囲が増えれば、もちろん費用も高額になってしまいます。中でもよくあるのが、いざ解体してフタを開けると新たな問題点が見つかったり、思わぬ箇所でトラブルが出てきたりすることです。そのため、当初の見積費用より増額することを想定して、余裕を持った資金計画が必要になります。

また、住宅ローンの借り替えやリフォームローンの借り入れを検討されている方は見積額の10%~15%程度の費用を余分にみておく方がよいでしょう。

デメリット②工期が長くなる

どこまでの範囲で工事を行うかで工期は変動しますが、平均して約2~3ヵ月、基礎や外構までの広範囲になると6ヵ月ほどかかる場合もあります。プランニング段階で検討を行うとともに、必ず施工業者に大まかな工程を確認し、どの程度の日数がかかるのか事前に把握しておくようにしましょう。作業を進めるなかでイレギュラーなトラブルや天候の影響等も出てくることもありますので、あくまで目安とし、余裕をもった計画で進めるとトラブルを未然に防ぐことができます。

デメリット③仮住まいが必要になるケースがある

スケルトンにするということは、生活スペースの利用が一定期間使用できなくなってしまうということ。工事期間中は仮住まいが必要になるケースがほとんどなので、仮住まい先の選定や書類手続き、引っ越し作業などのスケジュールを調整しながら、遅くとも工事着工の1~2ヵ月前にはある程度決定しておく必要があります。

ということは、資金として工事費のほかに引っ越し費用も合わせて準備しておかないといけません。どうしても家を離れられない場合は、1階と2階を二期工事に分けるなど、施工手順を工夫することで在宅のまま施工が可能ですので、事前に施工業者に相談してみるといいかもしれません。

施工範囲によっては、仮住まいが必要になる場合も 施工範囲によっては、仮住まいが必要になる場合も

デメリット④完成まで根気と労力が必要である

建物は、実は数百種類もの建築材料でつくられています。構造部分や下地材料は別として、仕上げの方法や素材の種類・色味やテクスチャーをすべて決めていかないといけません。設備機器の種類やサイズなど、洗面台一つとっても何十種とあるメーカーから選定してプランニングしていかないといけないのです。

加えて各間取りやコンセントや照明の位置、窓の位置や形状・高さまでありとあらゆる箇所を計画していく必要があるため、幾度もの打合せを重ねながらイメージを絞り出していきカタチにしていく作業になりますので、相当な労力がかかってくると同時に、完成までは思っているよりも根気が必要です。

施主様からは「こんなに決めることがあるなんて思いませんでした……」とお聞きすることが案外多く、びっくりされます。せっかくの理想の住まいをつくるための計画が、逆に自分の首をしめてしまう要因になり得るので、リフォームするタイミングはしっかりと話し合って検討しましょう。

05| スケルトンにできない建物はある?

ケース①面耐力の壁構造の場合

建物は大きく分けて次の5種類の構造別カテゴリーに分けられます。

  • 木造(W造)
  • 鉄筋コンクリート造(RC造)
  • 鉄骨造(S造)
  • ALC造
  • ブロック造

その中でも、W造では2×4工法、RC造では壁式構造と呼ばれる建物構造の場合、従来の柱や梁などの横架材で構成される在来工法の構造とは違い、「壁面」で耐力を補う面構造のため、スケルトンにした場合でも耐力壁となっている間仕切り壁は取り除くことが出きません。検討している建物がどのような構造でどのような仕様なのか、しっかりと調査を行ってから進めるようにしましょう。

ケース②マンション独自の制約がある場合

基本的に各マンションで独自に管理規約を制定している場合がほとんどで、床材の遮音規定や電気容量の規定、躯体への孔開け禁止など様々な規約が定められていることがあります。解体範囲はもちろん、仕様の決定の際には事前に管理規約を確認したうえで設計を行わないといけません。

また、マンションなどの集合住宅の場合、専有部分のほかに共用部分があり、窓や玄関ドア・バルコニーなどがこれに該当します。共用部分は基本的に個人の所有範囲ではなく手を加えることができないため注意が必要です。どうしても替える必要がある場合は管理組合に申請を行うことで可能になるケースもありますので、マンションの管理会社に確認をとるようにしましょう。

06| 引き渡しまでの流れと費用相場

初回の相談から引き渡しまで、全体的にどのような流れで進めるのか順を追って説明していきます。

①情報収集&イメージ整理

まずはSNS等で情報収集を行いながら、目的整理を行っていきます。ある程度イメージが固まってきたら、スクラップブックを作ってみるとわかりやすいです。

②建築会社選び

イメージが決まったら、理想の住まいを実現してくれそうな建築会社を探しましょう。施工事例や会社の雰囲気をチェックしながら、自分好みのテイストにより近いところを選びましょう。子育て中の方は子育て世代向けのリノベーションをメインで行っている建築会社にする等、その会社の強みは何かをしっかりチェックしておくと自分に合った的確な会社を見つけることができます。

③初回ヒアリング~プランニング・見積もり(約6カ月程度)

施工会社へのアポを経て、初回ヒアリングからプランニングまで平均して最低6カ月ほどはかかります。この期間は、イメージの共有や細かい部分のすり合わせ等をしっかりと行うことが大切です。要望は遠慮なくどんどん伝えましょう。ただし、詰め込み過ぎると膨大な金額に膨れ上がりますので、お財布と相談しながら優先順位をつけて考えるとよいでしょう。

④契約~工事着工まで(約3カ月程度)

プランがある程度決まれば、契約を行い、近隣挨拶や引っ越し契約など着工前の準備を行っていきます。最低でもこの時点で仮住まい先は決めておくようにしましょう。

⑤工事着工~引き渡し(約3カ月程度)

まずは解体工事から始まり、その後、本格的な作業が進められます。着工から引渡しまでは大体3カ月程度の期間を要しますが、工事範囲によっては4~6カ月ほどかかる場合もあります。工事中も、現場で設計士や現場監督の立合いのもと施工確認や打合せを何度も行いながら完成させていきます。工事完了後は建築会社と共に完了確認を行って、問題がなければ無事引き渡しとなります。

その後は荷物の搬入を行い、ようやく新生活のスタートです!

07| 費用相場の目安は? 解体~工事完成までの総工費

木造2階建て住宅(建築面積30坪の場合) 

建築面積で1坪あたり約60万円程度かかるので、おおよそ1800万円程度の費用がかかります。仕様や素材のグレードによって費用帯も大きく変わってきます。外壁や屋根などの外装材を既存利用した場合だと、1200万円程度の費用になります。

RC造マンション(延床専有面積80平方mの場合) 

マンションの場合、専有面積で1平方mあたり約20万円程度かかるので、おおよそ1600万円程度の費用が必要です。こちらも、仕様や躯体の状況によっては費用に幅がでてきます。マンションの規約によっては作業時間の制約や養生や搬出入経路の制限があるなど、余分な手間費用がかかることもありますので注意が必要です。

スケルトンリフォームをした事例。キッチンにも収納がたくさんあり、忙しい人でも整理整頓しやすい スケルトンリフォームをした事例。キッチンにも収納がたくさんあり、忙しい人でも整理整頓しやすい

スケルトンリフォームをした事例。部屋の中央にある梁をいかし、印象的な部屋に スケルトンリフォームをした事例。部屋の中央にある梁をいかし、印象的な部屋に

08| まとめ

今回は「スケルトンリフォーム」について解説しました。新築同様、一生に一度の高額な決断だからこそ、メリットやデメリット等、その特徴をしっかり把握したうえで検討したいですよね。

建て替えをお考え中の方は「スケルトンリフォーム」を選ぶ方が、工期も早く費用も安くて、より快適でご自身に合った暮らしをカタチづくれると思います。

何より、沢山の思い出が詰まった大切な家の骨格を壊すことなく、新たな空間に一新することができ、住まいも家族の思いも継承していける。そんな魅力たっぷりの「スケルトンリフォーム」。ご興味のある方は是非ご検討してみてください。

大景祥

この記事を書いた人

大景祥 Smau design(スマウデザイン)

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