公開日: 2023.09.28 最終更新日: 2023.11.24

憧れの古民家ライフを快適にするには? 古民家リノベーション解説 ~注意ポイント&実例紹介編~

憧れの古民家ライフを快適にするには? 古民家リノベーション解説 ~注意ポイント&実例紹介編~

古民家暮らしを快適にするためのコツをご紹介するコラム。今回は、古民家リノベーションの極意や注意すべきポイント、実際のリノベーション実例と費用相場、さらに京都での補助金例などをご紹介します。お洒落で雰囲気のよい空間にする方法、ぜひチェックしてみてください。

Smau design(スマウデザイン):大景祥

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01| 古民家リノベーションの極意

梁で魅せる

本来は構造材である梁ですが、昔の木造建築物は一本の丸太を利用して柱から柱へと継いでいます。現在では集成材を使った角材を利用することがほとんどですが、それまでは棟梁が一本一本見定めた丸太梁をかけるのが基本でした。

天然の丸太ですので、もちろんカタチや大きさもまちまちで、同じものは一本だってありません。中にはくねくねと湾曲した形状のものやズドンと太く大きなものなど、見ているだけで魅了されます。

一番の魅力は、その空間を目一杯包み込んでくれる存在感です。建物を支える構造体でありながら、立体的に組まれているので天井に奥行きも感じられ視覚的に空間が広く感じられます。

古材を利用する

新築だとなんだか浮いてしまう古材でも、古民家では不思議と味のある空間に仕上がります。床材や壁材に古材を利用することで趣のある空間が生まれ、結果コストダウンにもなるので一石二鳥です。

ポイントとしては、ただ古ければよいという訳ではなく、床や壁、家具などの色みのバランスを考えながら配置することが大切です。木材であってもパイン等の軟木とウォールナット等の堅木とでも色みや木質、風合いも全く変わりますので、統一感を崩さずに選定してみてください。

素材を五感で楽しむ

古民家の魅力として一番大きいのが素材感です。柱や梁には木の重みと存在感を、床や壁の木板には温もりと木の表情を、珪藻土やしっくい等の左官材にはテクスチャや息づかいを、坪庭や外庭から見える植物には生命の鼓動を、窓から差し込む陽の暖かさや風の流れを、五感全てを使って感じることができます

床には無垢フローリング、壁には左官塗り材を使用し、明かりを取り込み空気の流れを作る窓、これらを取り入れるだけで居心地のよい空間になります。身体全てを使って感じられる古民家の魅力を十分に利用してください。

02| 注意すべきポイント

ここまでたくさんの魅力を紹介してきましたが、何点か注意すべき点がありますので、こちらも合わせて確認しておいてください。

ポイント①設備環境(インフラ)をチェックしておく

古民家が現存しているところは、基本的に開発地でもなく自然豊かな場所や、昔から変わらず残っている街の一角にあることがほとんどです。建物によっては上下水道・ガス・電気配線なんかも本管がきておらず、簡易的に個人で引っ張ってきているなんてことも多々あります。

その場合、最寄りのメインとなっている設備から延長してくる作業が必要になってきますので、それだけでも相当な出費になります。電話やネット回線も生活するうえではなくてはならないと思いますで、事前調査の際にセットで確認しておきましょう。

ポイント②近隣状況について

昔ながらの住宅地には長年住まれている地域住民の方の存在があります。日々の暮らしのなかで重要なのは近隣の方との関係性。当該地域に住む以上、地域の方との関係性は切っても切り離せません。

事前にご挨拶に伺うことや、周辺状況をチェックしておくのも大切な作業のひとつです。地方移住者の増加と同時に、地方移住者と地元住民とのトラブルも増えつつあるので、近隣リサーチを行うことをお勧めします。

ポイント③多めの予算計画を

築年数が50年以上経っていると、修繕範囲も想定していた以上に広がる可能性も大いにあります。そのため、いざ購入して手を加え始めても費用がかさんで頭を抱えるようなことになってしまうと本末転倒です。余裕のある予算計画を行ってください。

住宅ローンやリフォームローンなどの融資を検討されている方は、資金調達の準備もしておかなければなりません。融資実行時期は書類審査期間も含めて早くて1~2ヶ月はかかるので、事前調査やプランニングと合わせて最低でも半年ほど前にはある程度詰めておくとスムーズに進めることができます。

03| リノベーション事例と費用相場

ここからは実際のリベーション事例を紹介していきます。費用相場も交えて解説していくので参考にして頂ければと思います。

大黒梁のある家

こちらは築60年ほどの家屋をリノベーションした事例です。天井を取っ払い、大きな梁を現わしにすることで重厚感を感じることのできる空間に仕上がっています。無垢フローリングでデザインした床材に合板を素地仕上げにすることで木の温かみを感じつつ、コストカットを行いました。

  • 建物:木造2階建て
  • 家族構成:3人家族
  • 築年数:59年
  • 改装:フルスケルトンリノベーション
  • 費用:約1,200万

和テイストのミニマルハウス

こちらは床と天井に杉材をふんだんに使用したLDK。縁側には開放的で大きな窓をつくることで採光を取り入れ、広々とした明るい空間を演出。天井は竹を使った駆けみ込天井にすることで和の表情を造り出しました。ミニマルにつくられた空間には無駄がなく、ご夫婦二人だけのちょうどよい空間に仕上がっています。

  • 建物:木造2階建て
  • 家族構成:2人家族
  • 築年数:48年
  • 改装:フルリノベーション
  • 費用:約900万

京町屋を再利用した住宅兼カフェ

京町屋を改装して造った住宅兼カフェ。壁を白く塗り、建具や家具などの木部は淡く濃いブラウン色に塗装することで、清潔感を出しつつ趣のあるお洒落な内装に。ポイントは床や腰壁にタイルを使い、木と組み合わせることで素材感も楽しめる居心地のよい空間にした点です窓から見える植物が心を癒してくれます。

  • 建物:木造平屋建て(住宅 兼 店舗)
  • 家族構成:4人家族
  • 築年数:56年
  • 改装:フルスケルトンリノベーション
  • 費用:約1,000万

通り土間のある家

こちらは築50年ほどの平屋を改装した事例です。使い勝手の悪い縁側を解体し、玄関と繋げて通り土間をつくりました。ほどよくおうちの中に風が抜け、木漏れ日が差し込む落ち着きのある空間にしました。床は炭モルタルで仕上げてあるので、シックな雰囲気を醸し出してくれます。夏は涼しく、冬は日差しを畜熱して暖かいので冷暖房効果もアップします。

ポイントは三和土仕上げの外庭を造り、通り土間と繋げることで外と中の境界線を曖昧にし、自然との一体感を感じられるようにした点です。

  • 建物:木造平屋建て
  • 家族構成:4人家族
  • 築年数:50年
  • 改装:部分リノベーション
  • 費用:約500万

04| 古民家リノベーションは、補助金を賢く利用

大々的な改装が必要な古民家リノベーションですが、国や自治体の制度を上手く使えば補助金が貰えるケースもあります。条件次第で300万円の補助金が貰える場合もあるので、お得にリノベーションができるのです。

京都市では個別指定及び指定地区内の京町屋を対象に、京町屋の保全・継承に必要となる大規模改修工や維持修繕に関わる費用の一部において補助をしてくれる制度があり、一定条件をクリアすれば250万まで補助金が貰えます

大規模な改修の場合

個別指定及び指定地区内の京町家を対象に、京町家の保全・継承に必要となる大規模改修工事や維持修繕にかかる費用の一部に補助金が支給されます。

小規模な改修及び維持修繕の場合

京町家条例に基づく個別指定京町家を対象に、日常的な維持修繕にかかる費用の一部に補助金が支給されます。

※補助金について、詳しくは京都市の「京町家を未来へ」をご確認ください。

・京町家を未来へ
https://kyomachiya.city.kyoto.lg.jp/

05| まとめ

古民家について、知っているようで知らないことがたくさんあったかと思います。古民家は、風情があり環境に優しく、私たちの暮らし豊かにしてくれる要素がたくさん。この機会に、古民家への移住をしてみるのもよいかもしれません。

大景祥

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大景祥 Smau design(スマウデザイン)

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