「出会いは偶然でも、今では用賀の街そのものが友達のよう」劇作家・演出家・俳優・岩松了さんインタビュー Vol.1

「街の人たちと挨拶をかわすようになり、里心がでてきました」

用賀の住宅街にある桜並木

――仕事場が用賀にあるとお伺いしましたが、用賀を選んだのは何か理由があったのでしょうか？

執筆活動を始めたころは、喫茶店などで書いていました。でも、資料が多くなってお店に持ち込むには迷惑になりそうだなと思って、部屋を借りることにしました。その時に知り合いに教えてもらった不動産会社が用賀にあったので、用賀で物件を借りたのが最初です。そのあと、仕事場を引っ越しているのですが、結局その場所も用賀で、もう10年以上は用賀に通っています。


――偶然の出会いから、すごくお気に入りの街になったんですね。どのようなところが、岩松さんの心をつかんだのでしょうか？

自宅が横浜の住宅地にあって、隣人とはあまりかかわりがないんです。でも、用賀だと、執筆に行き詰ったらご飯を食べに行ったり、仕事終わりに飲みに行ったり、仕事場に行くのに商店街を歩いたりしていると、街の人たちと挨拶をかわしたりします。どこか下町感というか人情味があるのが、なんとなく居心地がいいなと感じていますね。いまでは、里心のようなものも感じています。

砧公園の風景

――用賀のお店もいろいろ行かれているのですね。お気に入りのお店はありますか

「古山」というお好み焼き店によく行きますね。お店に行くと、「肉と野菜ください」といって、お店の人が目の前の鉄板で焼いてくれるので、それがお気に入りです。普段は一人で行くことが多いのですが、たまたま知り合いがいて一緒に食べたりすることもありますね。ほかには、イクラバルというロシア料理のお店もお気に入りのひとつで、以前仲野太賀さんや勝地涼さんを連れていったこともあります。

最近は用賀のお店も入れ替わりが多くなっています。知り合いの俳優や作家で用賀周辺に住んでいる人が多いので、あそこのお店どうだった？ とか、お店の情報交換をしています。

――用賀は、岩松さんにとってどのような街ですか？

隣には高級住宅街と言われる二子玉川がありますが、個人的にはまったく雰囲気が異なる下町のような街に感じています。私にとって仕事場であり、気分転換できるリフレッシュできる場です。仕事場として通い始めて10年経って、今では私にとっては本当に“普段”の街になってきています。用賀駅に降り立った瞬間に、いつも「また来たよ！」と、友達の家にきたような、今では街そのものが友達のような気持ちになっています。

渋谷駅から電車で約14分、世田谷区の南側に位置する用賀。用賀駅には東急電鉄の田園都市線が通っており、東京メトロ半蔵門線と直通運転をしていることため都心へのアクセスも便利な街です。

モダンな雰囲気の用賀駅

かつては真福寺の門前町や大山道の宿場町として多くの人でにぎわっていた用賀。現在は用賀駅を中心に碁盤の目のように道路が整備されているほか、環状8号線や東名高速道路の東京ICも近いため、車の利便性も高い街です。

街のランドマークともいえる高層ビル「世田谷ビジネススクエア」が、駅に直結してそびえており、駅周辺のモダンな雰囲気の象徴となっています。一方で駅の北側には昔ながらの雰囲気を残す「用賀商店街」が広がっていて、地元の人から愛される青果店などバラエティに富んだお店が並んでおり、用賀に住む人たちの生活を支えています。

また、駅から少し離れた場所には、都内でも屈指の広さを誇る公園の「砧公園」や、「JRA馬事公苑」などがあり、都内とは思えないほど豊かな自然が感じられる街でもあります。隣の二子玉川のようなオシャレな雰囲気がありつつも、どこか落ち着いた空気が流れる閑静な住宅街としての面もあり、ファミリー層を中心に暮らしやすい街として注目を集めています。