江戸情緒と便利さが同居する「小江戸」川越の住みやすさや治安は？

川越のシンボルである時の鐘

川越市は、人口約35万人、面積109.1 平方kmで、埼玉県の中で5番目に人口規模が大きい都市（2020年国勢調査による）。都心からの距離は30kmほどで、東京からの観光客や都市へ通勤・通学する人など、毎日多くの人が行き交っています。

江戸時代の大工棟梁「平内政信」が建造した喜多院多宝塔

市の中心となる、JR・東武東上線「川越駅」や西武新宿線「本川越駅」の周辺は、都市の中心らしく大型商業施設が集まり、平日・休日に買い物をする多くの市民で賑わうエリア。中心エリアから北へ1～2km行くと、レトロな町並みが残る「川越市川越伝統的建造物群保存地区」、その東側が、「川越城跡」や徳川家康・徳川家光・春日局などに縁が深い「喜多院」がある地区で、観光客はもちろん、市民もふらりと訪れたくなる観光スポットが点在しています。

川越駅東口の様子

川越市の中心部には、JR川越線、東武東上線、西武新宿線の3路線が通っています。八王子方面、新木場方面へはJR線が便利で、JR「川越駅」から八王子までは乗り換えなしで約70分、「新木場駅」までは埼京線経由で約75～80分。池袋方面へは、「川越駅」から東武東上線を利用して、「池袋駅」まで約30分でアクセスできます。新宿に出るのは西武新宿線が便利で、「本川越駅」から「西武新宿駅」まで約50分、乗り換えなしで到着可能です。

商業施設が集う本川越駅東口

車の場合は、関越自動車道川越ICから練馬ICまでが約21km。また、首都高速5号池袋線～埼玉大宮線と国道17号・16号線を経由しても、都心にアクセスできます。

ビルが立ち並ぶ川越駅周辺の様子

JR・東武東上線の川越駅周りは、大型商業施設が集まるショッピングスポット。駅直結で待ち合わせに便利な「ルミネ川越」、駅の東側にファッション関連が充実した「アトレマルヒロ」、食品フロアが深夜1時まで営業している「川越マイン」、「ドン・キホーテ川越東口店」、西側に郵便局や医療機関も入った「ウニクス川越」があり、ほとんどの買い物は駅周辺の店舗を回るだけで十分です。

川越駅から徒歩約15分の西武新宿線本川越駅周辺には、ファッションから飲食、雑貨まで幅広いショップが揃う「西武本川越ペペ」、高級スーパー「明治屋」が入る「丸広百貨店川越店」などがあり、こちらも便利に利用できます。
また、駅から見て北側の、江戸の街並みが残る「川越市川越伝統的建造物群保存地区」に行けば、老舗の和菓子や名物のスイーツも楽しめます。

埼玉県警察が発表している犯罪統計によると、2021年の川越市の犯罪認知件数は1,805件。人口1,000人あたりの犯罪率は5.1で、県内72の市区町村のうち多い方から36番目と、ちょうど真ん中付近に位置しています。2020年は、犯罪認知件数1,996件、1,000人あたり犯罪率は5.6で33番目だったので、それより少し減っている状況です。

人口1,000人あたりの犯罪率を、人口規模がほぼ同じの所沢市、越谷市と比較すると、所沢市とはほぼ同水準、越谷市より1.6ポイント下となっています。地理的に近いふじみ野市、入間市、さいたま市西区、狭山市、飯能市などとの比較では、ほぼ同水準といえます。

徳川将軍家や江戸と深い関わりがあった川越では、街のあちこちで歴史や文化に触れることができます。休日にふらっとお出かけしたい、「小江戸」を感じるスポットを４つ紹介します。

寛政4（1792）年に建てられた「大沢家住宅」は、呉服太物（ふともの）を扱っていた

江戸の町家形式として発達した蔵造りの建物が立ち並ぶ大通り。建物の壁が、江戸で「粋」とされ大流行した、黒漆喰仕上げになっているのが特長です。町並みは、1999年に国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されました。

通りの中央付近にある、高さ16.2m、木造三層構造の鐘楼「時の鐘」は、小江戸・川越のシンボル。今でも鳴らされており、毎日6時・12時・15時・18時には、環境省の「残したい日本の音風景100選」にも選ばれたその音を聞くことができます。通り沿いには、川越最古の蔵造りで国指定重要文化財の「大沢家住宅」、本物の山車2台の展示をはじめ川越まつりの歴史と今を伝える「川越まつり会館」、ひときわ目立つ洋館造りの「旧埼玉りそな銀行川越支店」など、見どころがいっぱい。和雑貨屋をはじめ、土産物店も充実しています。

色とりどりのガラスが散りばめられた石畳

石畳で舗装された約100mの通りに、20～30のお菓子屋が軒を連ねる人気スポット。素朴で懐かしい味わいのお菓子を扱う店が多く、一歩足を踏み入れると、飴の甘い香りや醤油煎餅の焼ける香ばしい香りが漂ってきます。2001年には、環境省の「かおり風景100選」にも選ばれました。

売られているのは、ハッカ飴や昔ながらの色鮮やかな飴の数々、駄菓子、団子、煎餅、川越名物のサツマイモを使ったスイーツなど、懐かしくて優しい味わいのお菓子たちで、食べ歩きにぴったり。一軒ずつ覗きながら散策すれば、まるで子どもの頃に返ったようなワクワク感に満ちた時間が過ごせます。

和菓子作り体験は小さな子どもから大人まで体験可能

時の鐘へと続く一番街に2019年にオープンした「kashichi」は、230余年の歴史を持つ老舗和菓子屋「龜屋」の新しいブランド店。１階はショップと古い和菓子作りの道具の展示コーナー、２階は体験スペースになっており、土・日曜、祝日は和菓子作りに挑戦できます（要予約）。ベテランの職人さんが丁寧に教えてくれるので、手先の器用さに自信がなくても大丈夫。木型を使って季節にあわせた模様をつけたりしながら、誰でもかわいらしい練り切りが作れます。所要時間は45分ほどなので、観光スケジュールに組み込むのにも最適。子どもたちも大歓迎なので、家族みんなで楽しめます。

川越城は、2006年に「日本100名城」の一つに選ばれている

川越城は、室町時代に川越の地を治めていた扇谷上杉持朝の命により、家臣の太田質正・道灌親子が築いたと伝わる城で、1457年に完成しました。後の江戸時代には、江戸城の北の守りの拠点として重視され、徳川家の重鎮が城主を務めた歴史があります。

現存する建物は1848年に建てられたもので、江戸時代の本丸御殿が見られるのは、全国でもここと高知城のみ。大広間、移築復元された家老の詰め所、玄関が当時のまま残っており、埼玉県文化財に指定されています。等身大の人形で会議の様子等も再現されており、江戸時代を身近に感じることができます。

川越の観光スポットを巡回する、イーグルバスの小江戸巡回バス

川越市は、2016～2025年の10年計画で「第二次川越市観光振興計画～小江戸川越再発見プラン」に基づき、街づくりをはじめとする観光施策を推進中です。同計画の基本理念は、「世界に発信しよう！EDOが粋（いき）づくまち　小江戸川越」。行政と市民の協働を大切にしており、新たな観光資源の発掘、観光セミナーやおもてなし講座の開催、海外の旅行者に向けた情報発信など、さまざまな方法で市民が参加する形で、観光・商業の振興に取り組んでいます。

同計画に沿って、整備された道路や自転車シェアリングシステムは、「安心して観光を楽しめる環境作り」の一環であるとともに、市民の通勤・通学や買い物でも活躍中。市内には、循環バス「川越シャトル」やフリー乗車券を買えば500円で乗り放題になる「イーグルバス（小江戸巡回バス）」も走っており、観光客や市民の足として利用されています。

川越市の賃貸物件の家賃相場は次の通りです。

1LDK：79,900円
2DK：61,300円
2LDK：93,700円
3LDK：105,300円

新築・分譲一戸建ての価格相場は

2,000万円台～7,000万円台

となっています。

また、中古マンションの価格相場は、次のようになっています。

築15～20年以内：3,000万円台
築20年以上：1,000万円台

川越市の賃貸物件の家賃相場は、東隣りのさいたま市西区、南側のふじみの市、所沢市などとあまり変わらない水準です。入間市や狭山市、飯能市に比べると、やや高い傾向があります。