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2021.2.25

【マンション防災士に聞く】Vol.2 「とどまる避難」では自助が基本!家の中を再チェックしよう

マンション暮らしの方に向けて、防災の基本をおさらいしている本シリーズ。マンション防災士の釜石徹さんに、在宅避難のノウハウについて教えてもらいます。前回は「マンション住まいは在宅避難が基本」というお話をしました。では、私たちの家は在宅避難に耐えられるのか、危険なところはないのか? 今回はそれをチェックしていきましょう。

ライター

ライター : 殿木真美子

あなたの家の防災力をチェックしてみよう

マンション暮らしの人は「家にとどまる避難」が基本ですが、では、肝心の家の中は安全なのでしょうか? ちょっと確認してみましょう。「まずは、災害が発生した時に、自宅でケガをしたり最悪死んでしまったりすることのないように備えをすることが大切」と言う釜石徹さん。

上記の表は、地震が起こった際にマンションの専有部で起こると思われる被害を挙げたものです。まず、断水や停電、ガス停止などライフラインを支えるインフラが使えなくなる恐れがあります。キッチン周りでは出火に気をつけなければいけないし、ドアが変形することで部屋から出られなくなる場合もあるようです。こうして見てくると、家の中にはかなりの危険が潜んでいることがよくわかりますね。あなたの家はいかがでしょうか。

家の中でできる災害への備え① ―家具の転倒、ガラスの飛散の防止―

▲大きな家具は上に突っ張り棒、下にストッパーをつければ安全。

家の中で特に危険なのが、重量のある家具が転倒することです。例えば、直下型地震の阪神淡路大震災では、災害救助法適用地域の6割の家で家具が転倒し、内部被害によるケガの原因の半分弱が、家具の転倒・落下だったそうです(※日本建築学会「阪神淡路大震災 住宅内部被害調査報告書」より)。「家具の転倒防止策は、少なくとも家具の上に突っ張り棒、下にストッパーの両方を取りつければ、十分な強度がとれます」と言う釜石さん。

その次に危険なのはガラスの飛散です。中でも注意したいのは食器棚。ガラスが割れたり、開き戸が開いて中の食器が落ちてきたりしてより危険です。ガラス部分には飛散防止フィルムを貼り、開き戸にはストッパーをつけておきましょう。

家の中でできる災害への備え② ―トイレ対策―

▲BOS防臭袋の非常用トイレセット。BOS防臭袋と汚物入れ、凝固剤がセットになっている。

災害時に最も深刻な問題となるのが、トイレです。東日本大震災では、断水や停電などによって多くの地域で水洗トイレが使用できなくなり、震災直後はあっという間に排泄物でいっぱいになったそうです。トイレの衛生環境が悪化すると、感染症の温床になりかねません。

このトイレ問題に対して、釜石さんはさまざまなメーカーの携帯トイレを試してみたそうです。「小便ならば、ほとんどのメーカーで対応可能ですが、厄介なのは大便。袋自体から臭いが漏れてくるので、家族の分を数日間家に置いておくことはとてもできませんでした」。

そこでおすすめなのは「BOS防臭袋」。BOSとは高い防臭力を持つ高機能素材で、赤ちゃんのおむつや介護現場などで使用されています。「マンションの場合、地震後に建物に損壊がないことを確認し、排水管のチェックで問題がなければ小便はトイレの便器に捨てることができます。大便だけなら携帯トイレが家族1人につき1日1個あれば大丈夫なので、BOS防臭袋をうまく使って備蓄を最低限にすることができます」。また、BOS防臭袋はペットのうんちや生ゴミにも効果があるので、備えておくといいかもしれませんね。

家の中でできる災害への備え③ ―ライトとバッテリー―

▲モバイルバッテリーの充電は切らさないようにしておくことが大切。

災害時の停電に備えて、普段から習慣化しておくといいことについても教えてもらいました。一つ目は停電時の明かり対策。「停電時自動点灯ライト」がおすすめです。普段は点灯しませんが、停電になると自動的に点灯してくれるもので、寝室、リビング、廊下、玄関などのコンセントに差しておけば、いざという時足元を照らしてくれます」と釜石さん。

二つ目はバッテリー。携帯電話やデジタルカメラ、モバイルバッテリー、充電式ラジオなどは災害時にあると便利ですが、災害時に利用しようと思ったらバッテリーが切れていた、ということがあります。普段から利用したすぐ後にバッテリーを充電する癖をつけるようにしておきましょう。

まとめ
在宅避難では、家の中の安全がとても大事。今から自分の家の安全度をチェックしてみたくなりましたね。また、トイレや停電時の備えなど、今から習慣化したり備えておいたりすることはたくさんありそうです。次回は在宅避難時の食事への備えについてお話を聞いていきたいと思います。




お話を伺った人 釜石徹さん
災害対策研究会主任研究員兼事務局長、マンション防災士。マンション特有の防災対策の研究を長年続け、マンション居住者は災害時に自宅にとどまる選択を提唱。著書に『マンション防災の新常識』(合同フォレスト刊)がある。