明治期以降、「東京大学」をはじめ多くの学校が設立され、夏目漱石や樋口一葉など多くの文豪ゆかりの地でもある文京エリア、東京都文京区の千駄木。都心のオフィス街へもアクセス良好で、東京23区内でも最上位の治安のよさを誇ります。そんな千駄木の住みやすさを調査してみました。
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01| 千駄木の概要:文学の香り高いエリア
東京23区の中心に近く、千代田、中央、港の都心3区のやや北西に位置する文京区。明治期以降は「東京大学」をはじめ多くの学校が設立されるとともに、坪内逍遥、森鴎外、夏目漱石、樋口一葉など多くの文豪ゆかりの地でもある、文字通りの文教エリアといえます。
千駄木は勾配の急な坂と崖、神田川などの川で形作られた坂の街。かつての大名屋敷庭園の面影を残す「小石川後楽園」、「六義園」や「小石川植物園」などの貴重な緑にも恵まれ、独特の情緒を醸す地域です。そんな文京区の北東端に位置し、夏目漱石の小説『三四郎』や森鴎外の小説『青年』にも登場する団子坂に象徴される千駄木。「谷根千」の名称で知られ、谷中、根津と並んで歴史的な建造物やレトロな建物が残り、下町情緒あふれるエリアとして人気です。その名の由来は、かつては森林で1日に1,000駄(駄は単位)にもなる薪が伐採されたという説や、江戸城を築城した太田道灌が落葉高木である栴檀(せんだん)を植え、「栴檀の木」が転訛(てんか・ことばの本来の発音がなまってかわること)したという説など、歴史を物語る説が残っています。
武蔵野台地の東縁部にあたり、本郷台地と上野台地、その間を通る不忍通りの低地で構成されている千駄木は、山の手と下町をつなぐエリア。坂の街・文京区のなかでもとりわけ坂が多いことで知られます。そんなところから、かつての大名屋敷の流れをくむ山の手の住宅街の雰囲気と懐かしい下町の情緒を併せ持つのが大きな特徴です。
02| アクセス:都心のオフィス街へもアクセス良好
千駄木の主要駅は東京メトロ千代田線の千駄木駅となります。千代田線は、ビジネス街に位置する大手町駅(所要約8分)、霞が関駅(所要約14分)、赤坂駅(所要約17分)などを経由し、都内有数のおしゃれスポットである表参道駅(所要約22分)、明治神宮前駅(所要約24分)へも乗り換えなしで行ける便利な路線です。都内の主要駅へは乗り換えが1回必要ですが、東京駅へは約18分、新宿駅へは約26分、池袋駅へは約18分、渋谷駅へは約28分となっています。また、千代田線は小田急線とJR常磐線が相互乗り入れをしています。代々木上原駅からは小田急小田原線となり箱根方面へ、綾瀬駅からはJR常磐線となり取手方面までのアクセスも可能です。一方、千駄木駅の隣である西日暮里駅はJR山手線、京浜東北線の接続駅なので、こちらから都内各所へ向かうのも便利です。
なお、千駄木駅の東側のエリアに住むのであればJR西日暮里駅と日暮里駅、西側のエリアならば南北線の本駒込駅も徒歩圏内。通勤などで利用する駅、路線を考慮してエリアを決めれば、より利便性が高まるでしょう。
03| 主要駅周辺の様子:人気商店街も徒歩圏内。地元密着型のお店も点在
千駄木駅があるのは、千代田線の上を走る不忍通りと神田白山線が交差するエリア。都心部の主要道路の一つである不忍通りには、高層建築が立ち並びますが、通りから1本入れば東京の原風景ともいえる町並みが出現し、細い路地が縦横に走ります。こうした土地柄から大型の商業施設はありませんが、駅前にはスーパーマーケットやコンビニエンスストアをはじめ、昔ながらの風情漂う商店もあり、個人営業のレストランやカフェ、ラーメン店など気軽に入れる飲食店も多数あります。
そして、昭和レトロな下町風情が楽しめると人気の谷中銀座商店街へは徒歩5分ほど。雑貨店や立ち食いグルメの店に混じって、青果店や惣菜店など普段使いができるお店も立ち並びます。休日は多くの観光客でにぎわいますが、地元に住めば時間の空いたときにふらりと立ち寄れ、カフェをはじめとしたおしゃれな飲食店を探したり、お気に入りのお店で常連さんになるのも夢ではありません。
04| 治安と暮らし:東京23区内でも最上位の治安のよさ
東京23区の犯罪発生率を見ると、千駄木のある文京区は常に発生率の低い方から2~3位に位置し、治安はすこぶるよいといえます。にぎやかなエリアは千駄木駅周辺と谷中銀座商店街に限られ、ほぼ全域が閑静な住宅街であることが、犯罪発生率の低さに寄与しているのでしょう。さらに文京区内の犯罪発生件数そのものが、平成25年の1,870件から平成30年には1,261件へ、令和2年にいたっては912件と一環にして減少傾向にあり、このデータも治安のよさを裏付けています。
05| マドリームがおすすめ、地元民として常連になりたい千駄木のおすすめスポット
昭和レトロな雰囲気が街の随所に残る千駄木界隈。そんな街の雰囲気を楽しみながら、住んでみたら常連として通ってみたいお店をピックアップしてみました。
①さくら食堂
千駄木駅から徒歩5分ほど、道灌山通り沿いにお店を構える昔ながらの食堂の風情を感じさせる定食屋さん。アジフライ、サバ塩焼き、あこう鯛の粕漬け焼きなど和風のメニューがずらり。メインとなる魚介は店主自ら足立市場に足を運び、目利きをして、その日のイチオシを仕入れています。常連さんは「今日のおすすめは?」とお店の方に聞いて注文を決めるのだとか。
秋田から仕入れるお米をふっくら炊き上げたご飯、自前のぬか床でつける自家製漬物など、脇役にも手抜きなし。こども用の椅子の用意もあるなど、ファミリーでも気兼ねなく利用できます。
②和栗や 谷中店
千駄木駅から徒歩5分ほど、谷中銀座商店街の一角にある和栗を使ったスイーツが楽しめるカフェ。栗の里として知られる茨城県笠間市に自社庭園を保有し、そこでオーナー自らが栽培している栗を使った各種スイーツ、焼き栗、栗大福、栗おこわなど幅広い商品で栗のおいしさを堪能できます。
なかでも注文があってから作るモンブランは、外せない逸品。どれも鮮度が命の商品なので、地元に住んでいるのは大きなアドバンテージといえそうです。
③HAGI CAFE(ハギ カフェ)
築60年の木造アパートを改造した複合施設「HAGISO」の1階にあるカフェ。ハンドドリップのコーヒーや、地元の青果店や精肉店、鮮魚店から仕入れた食材で作る食事メニュー、自家製のケーキ、パフェが味わえます。人気はトーストにカリッと焼き上げたサバをはさんだ「サバサンド」。また、朝8時から営業しており「旅する朝食」をコンセプトした和定食を提供。エリア内に住めば、出社前に立ち寄り充実した朝食で一日のエネルギーをチャージできそうです。
06| 都内でも珍しい「ネウボラ事業」をはじめ手厚い子育て制度が整備
かつて区長みずからが率先して2週間の育児休暇を取得したことに象徴されるように、子育て制度が充実している文京区。待機児童数も平成30年時点で100人だったのが、対策に力を入れた結果、令和2年の時点では11人にまで減少しています。
文京区の子育て支援で名高いのが「ネウボラ事業」。フィンランド語で「アドバイスの場」を意味するのですが、文京区では妊娠から出産、子育て期にわたる切れ目ない支援によって、より身近な場で妊産婦の方たちを支える仕組みを整備。母子保健コーディネーターという地区担当の保健師が、妊産婦や家族のニーズに合わせた情報提供やサポートにかかわっています。さらに、子どもを望むすべての区民が安心して子どもを産み、育てられるよう支援するとともに、妊娠・出産等に関する正確な情報を提供していく「ぶんきょうハッピーベイビープロジェクト」を展開中。
2歳未満の乳幼児がいる家庭を対象に、毎年子ども1人につき48枚の「子育て訪問支援券」が交付されます。保護者の休養やリフレッシュ、通院、就労などで支援が必要なときに、ベビーシッターサービスを一定負担で利用することが可能です。「子ども医療費助成」に関しては、子どもが中学校3年修了前までの、保険診療を受けたときの費用が助成されます。このほかにも、子どもを一時的に預かってくれる「保育施設キッズルームかごまち」、子どもを24時間預かってくれる「子どもショートステイ」、子どもとともに親も参加できる情報交換の場「子育てひろば」、病児シッターの利用を補助する「訪問型病児・病後児保育利用料助成制度」などなど、手厚い子育て支援を提供しています。
07| 知っておきたい千駄木の家賃と新築物件の相場
賃貸マンション・アパートの目安は下記。
2DK:130,000円
3DK:160,000円
1LDK:130,000円
2LDK:160,000円
新築・分譲一戸建ては
60,000万円台以上
で多くの物件が販売されています。
中古マンションは
築5年~15年以内:6,000万円台
それ以上の築年数:5,000万円台
となります。