前編では、薪ストーブとペレットストーブのメリット&デメリットを中心にご紹介しました。後編では、「薪ストーブ(ペレットストーブ)を導入したい」と思った方に向けて、ファーストコストやランニングコストをご紹介します。
CONTENTS
01| 設置費用とランニングコストは?
薪ストーブの設置費用
薪ストーブ導入の初期コストは、機種や設置条件、店舗によっても差があり、一概にはいえません。ですが、大体100万円前後は必要になってきます。
薪ストーブの設置費用例
本体 30万円~100万円
煙突部材 40万円~ 60万円
設置・施工費用 10万円~ 30万円
合計 80万円~190万円
※炉台・遮熱壁の費用は含まない
薪ストーブのランニングコスト
ストーブの燃焼性能や薪の樹種によって差が生じますが、概ね一日に必要な薪の量は2~3束程度。薪の調達方法によって0円~1500円/日までと大きな開きが生じます。
気になる薪ストーブの耐用年数
使い方や製品の素材、メーカーによりますが、10~20年程度といわれています。不適切な薪を燃やさない、過燃料を避ける、錆が出た際のメンテナンスを早めにする、などの対策次第で寿命をもっと伸ばすこともできます。また、扉の開口部のガスケットや二次燃焼式ストーブに搭載されている触媒などの消耗品も適切に交換する必要があります。
ペレットストーブの設置費用
ペレットストーブ導入のファーストコストも、機種や設置条件によって変動はありますが、大体50万円前後。薪ストーブと比べるとおおよそ半分の費用で設置が可能です。
ペレットストーブの設置費用例
本体・排気管部材 30万円~50万円
設置・施工費用 10万円~15万円
合計 40万円~65万円
ペレットストーブのランニングコスト
ペレットストーブの燃料の消費量は、1時間あたり約1㎏(約50円)ほど。
1日8時間使用する場合 = 50円×8時間
一ヵ月の燃料代 = 約12,000円 + 数十円~数百円(電気代) + ペレット配送料
となります。
気になるペレットストーブの耐用年数
メーカーや機種、使用時間や頻度によって違いはあるものの、概ね7~10年程度。着火のための電気ヒーターの消耗が一番大きいため、5年程度で交換が必要な場合もあります(部品代は1万円未満、自身で交換可能)。
部品交換を行いながら10年以上使用しているケースも見られますが、日本でのペレットストーブの歴史自体が浅いため、長期利用のケースがあまりありません。法定耐用年数は6年と定められていますが、日々の掃除をはじめ、基本的なメンテナンスを丁寧に行うことによって耐用年数を伸ばすことが出来ます。
世界一ペレットストーブが普及しているイタリアでは、耐用年数20年という機種も存在します。
02| 施工する際の注意点はある?
薪ストーブの注意点
床の補強や壁との距離、煙突の取り付けなど、設置する際の注意点は必ずチェックを
注意点①床の補強
薪ストーブの重さは軽いもので80㎏、中大型のもので120~200㎏、さらに煙突や炉台、薪などを置くとトータルで600㎏ほどの重量がかかってきます。そのため、家の構造をしっかりと調査して、適切な補強を施すことが必要です。
注意点②炉台設置の必要性
原則として、薪ストーブを直接床に置くのはNGのため、耐火性のある床面に設置する必要があります。場合によっては架台が床面から上がってしまうため、設置高さも確認を怠らないことが大切です。
注意点③壁との隔離距離
基本的に設置部周辺は遮熱壁を設けるか、一定の隔離距離を保たなければいけません。これを怠ると発火原因になり、火災を招く要因になります。遮熱対策を徹底しましょう。
注意点④煙突の取付け
煙突は屋根抜きと壁出しの2種類があり、どちらにしても法定で定められた基準のもと設置せねばなりません。さらに、最も重要なのが排煙計画です。排煙ルートとすす対策をきっちりしておかないと、近隣トラブル発生! なんてことに。設置前に燃焼方式や煙突の位置、長さなどを十分に検討し、近隣の方への説明も必ず行いましょう。
ペレットストーブの注意点
注意点①設置場所
ペレットストーブの重さは全体で80~150㎏程度。そのため、薪ストーブと違い床の補強は不要で2階への設置も可能です。ただし、近くに独立した電源コンセントが必要なため、設置場所に応じて電源工事が必要になってきます。
注意点②壁との隔離距離
厳密な国内法規が存在しないため、メーカーの測定結果のもと機種ごとに決められた隔離距離を確保する必要があります。ただし、耐火壁などの設置基準などはないので比較的容易に設置が可能です。
注意点③排気管の設置
薪ストーブほど高温にならないため、煙突よりも薄くて細い排気管を設置します。設置工事としては排気管を屋外に出すだけの簡単な工事のため、状況によりますが2~3時間程度で設置工事が完了します。マンションにも設置が可能ですので、詳しくは管理会社に確認をしてみてください。
薪ストーブほど多くはないが、ペレットストーブ設置にも注意点が。事前によくチェックを
03| あなたはどちら派? 選定ガイドリスト
薪ストーブorペレットストーブ
木質バイオマスを利用できるストーブとして比較される両者の最大の相違点は、排気方法の違いにあります。ここを押さえることで各家庭に適しているものが明確になってきます。
<Check>
薪ストーブの排気方法 … 煙突のドラフト効果を利用した自然排気
ペレットストーブの排気方法 … 電気でファンを回す強制排気
以下の項目に当てはまる項目が多い方が、より生活形態や住環境に適しています。選定のぜひ、選定の参考にチェックしてみてください。
<薪ストーブ>
☐ 薪の入手経路を持っている
☐ ストーブの上で料理をしてみたい
☐ 火遊びを楽しみたい
☐ 電気を使いたくない
☐ 隙間の多い町屋、広いスペース、寒冷地に住んでいる
☐ 煙が出てもご近所に気兼ねする必要がない
<ペレットストーブ>
☐ 手軽に火の見える煖房機器を導入したい
☐ 着火や燃料補給に手間をかけたくない
☐ 大掛かりな工事を避けたい
☐ 着火前に5分程度なら掃除の時間をとれる
☐ 小さな子どもがいる
☐ ご近所の排気について了承を得られる環境である
いかがでしたか?
実は、私は太陽光・ペレットストーブなどの再生エネルギーの活用・導入促進及び相談活動をする「京都再エネコンシェルジュ」のアドバイザーとして活動しています。もし、ご相談したいことなどありましたら、お問い合わせくださいね。