「テクノストラクチャーの家」という言葉を聞いたことがありますか? 木と鉄を組み合わせた梁を用いた木造住宅で、耐震性の高さや省エネ性、設計自由度の高さなどが特徴です。そんなテクノストラクチャーの魅力を紐解いていきましょう。
ライター: 殿木真美子
CONTENTS
01| テクノストラクチャーとは?
テクノストラクチャーとは、梁の部分に木と鉄を組み合わせた部材を使用する、パナソニックが独自に開発した耐震住宅工法です。
昔から日本人に愛される木の家。丈夫で長持ち、環境にもやさしいなど素晴らしい素材ですが、木ならではの弱点があるのも事実です。それを克服するために研究を重ねてたどり着いたのが、この工法でした。
最も特徴的なのが、軽量のH形鋼を芯材とし、集成材で挟んだような梁「テクノビーム」です。テクノストラクチャーオリジナルの複合梁で、これが木造のよさを生かしながら、その弱点を克服し、鉄骨に負けない強度を生み出します。扱いはあくまで木造住宅ですから、税金面・コスト面で鉄骨造に比べて安く済むのもポイントです。
木の弱点その①「たわみ」
木には、縦向きの力に強く、横向きの力には弱いといった特性があります。柱のように縦向きに使う場合は十分な強度を確保できますが、横向きに使う梁の場合は長時間の荷重によってたわみが進行。ひどくなると、家の骨組みがゆがんでしまうケースもあります。テクノストラクチャーの複合梁なら、たわみ量が木造梁と比較して4分の1以下、耐久性も抜群だそうです。梁だけを複合素材にするのは、木の特徴を考えてのことなのですね。
木の弱点その②接合部の強度
柱と梁や土台などの接合部は、家の耐震強度に大きな影響を与えます。日本の伝統的な在来軸組工法では、柱や梁の接合部分にほぞと呼ばれる突起とほぞ穴と呼ばれる穴を組み合わせることで連結。しかし、木材を切り欠いた部分は極端に細くなり、強度が足りない可能性もあります。テクノストラクチャー工法では、木材の切り欠きを最小限にするオリジナルの接合金具を採用し、金具で接合。一般的な木造接合金具と比べて約3倍の引き抜き強度があるそうです。
接合部の様子(写真:KOWA HOMES)
接合部の様子(写真:KOWA HOMES)
02| 高い耐震性は1棟ごとの構造計算から
実は、2階建てまでの木造住宅では、通常は構造計算が行われていないと知っていますか?
建築基準法では、一般的な2階建て木造住宅には構造計算が義務付けられておらず、大半がもっと簡易な「壁量計算」という方法で建物の強度を確認すればよいことになっています。
それに対してテクノストラクチャーの家では、必ず1棟1棟に構造計算を実施。それは、間取りや条件がそれぞれ異なる住宅の安全のためには、建物ごとの強さを科学的に確認する必要性があると考えているからです。また、一般的な構造計算のチェック項目が200項目程度なのに対して、テクノストラクチャーではなんと388というチェック項目の多さで、厳しい自社基準を設けています。
さらに、1棟ごとに行った構造計算の結果が「構造計算書」と「構造計算保証書」として施主の手元に残るのです。計算書、保証書ともにパナソニックが発行しているのも、安心できるポイントですね。
1棟ごとに柱・梁・接合部から基礎に至るまで、さまざまな角度からチェック(写真は基礎のイメージ)
03| テクノストラクチャーの家の耐震性能は?
テクノストラクチャーの家は耐震等級3を取得しています。そう言われても、今ひとつピンとこないという方のために、耐震等級について少しご説明しましょう。
耐震等級とは
耐震等級は住宅の耐震性能を客観的に評価する表示制度です。等級は1~3まであり、数字が高いほど性能も高くなります。
耐震等級1は、建築基準法で定められる耐震基準を満たす最低ラインとされ、「震度6強の地震が来たとき、傾きはしてもつぶれない」というレベル。等級2は等級1の1.25倍、等級3は1.5倍の地震なら耐えられる強度を持つとされます。
- 耐震等級1
震度6強の地震が来たとき、傾きはしてもつぶれないレベル。一般的な木造住宅に多い。 - 耐震等級2
地震に耐える力は等級1の1.25倍。災害時の避難場所として指定される一般的な学校や病院で採用される基準。 - 耐震等級3
地震に耐える力は等級1の1.5倍。住宅性能表示制度で定められた耐震性の中で最も高いレベルで、災害時の救護活動や災害復興の拠点となる消防署・警察署などは、多くが耐震等級3で建設される。
最も高い耐震等級3は、警察署や消防署などに採用される基準
災害時の重要拠点となる場所と同じ耐震等級というのは、とても安心ですね。もちろん、耐震等級1でも、数字上では地震時に倒壊しないので問題ないのですが、パナソニックでは「損傷は受けてもつぶれなければよい」では本当の安心は得られないと考え、地震が来ても住み続けられる家を提供するため、耐震等級3にこだわったそうです。
実際に、東日本大震災の際にテクノストラクチャーの家に住んでいた人に話を聞いても、「地震後も避難所ではなく自宅で過ごすことができてよかった」、「わが家だけ何事もなかったようだった」などの声が届いています。
04| 長期優良住宅の認定も受けられる
また、テクノストラクチャーの家は長期優良住宅の認定を受けることもできます。
長期優良住宅とは、国が定めた長期優良住宅認定制度の基準をクリアし、行政の認定を受けた住宅を指します。劣化対策や耐震性、省エネ性などさまざまな条件をクリアした住宅が認定を受けることができるのです。
※長期優良住宅の認定を受けるには、着工前に審査を受ける必要があります。詳しくは施工する住宅会社・工務店にご相談を。
長期優良住宅には下のようなさまざまなメリットがあります。
- 住宅ローンの優遇措置を受けられる
より金利の低い「フラット35S」が利用できる - 税の特例措置を受けられる
住宅ローン控除、不動産取得税など - 地震保険料の割り引きが受けられる
耐震等級3だと割引率50% - 補助金が受けられる
地域型グリーン化事業(※)、こどもみらい住宅支援事業など
※ただし、すべての長期優良住宅が補助金を受けられるわけではない
05| 設計自由度の高さも魅力
大きな吹き抜けや柱のない大空間のリビング。こうした設計の自由度が高いのも、テクノストラクチャーの家の特徴です。
住宅の構造強度を上げるには、柱や梁、耐力壁などが多く必要で、どうしても間取りに制約が出てしまいます。かといって自由な間取りを優先すると強度が下がる……。基本的に、間取りの自由度と設計強度は相反するものです。
テクノストラクチャーなら、どちらも両立させることができます。部材の強さはもちろん、1棟ごとに構造計算しているので安心。従来より小さな幅の耐力壁など間取りを自由にするための専用の部材も豊富に揃っていて、大空間や伸びやかなスキップフロアなど自由に実現することができます。
柱や壁のない大空間のリビングが実現できる(写真はイメージ)
06| テクノストラクチャーの家を建てるなら、地域の専門ビルダーへ
ここまでテクノストラクチャーの家の魅力についてご説明してきました。テクノビームをはじめとする独自開発された部材、1棟ごとの構造計算、高い耐震性や断熱性などを備えた住宅性能の高さ、設計の自由度など、たくさんのいいところがありましたね。
では、「テクノストラクチャーの家を建てたい!」と思ったとき、どこに話を聞きに行けばいいのでしょうか。
実は、テクノストラクチャーの家を建てられるのは、パナソニックの施工認定を受けた住宅会社・工務店だけなのです。テクノストラクチャーの施工認定店を「パナソニックビルダーズグループ」といいます。ビルダーズグループとなるには厳しい講習などを経て商品に対する正しい知識と確かな施工技術があると認められる必要があります。
つまり、施主は自分のエリアにあるパナソニックビルダーズグループの住宅会社・工務店を見つけ、その住宅会社と工事請負契約・売買契約を締結。住宅会社は設計・施工・販売までを手がけ、パナソニックは住宅会社に対して部材の製造・販売、テクノストラクチャーの構造計算などを提供する、という仕組みです。
いかがでしたか。テクノストラクチャーの家に興味を持った方は、ぜひ近くのパナソニックビルダーズグループを探してみてください。全国に約380社あり、それぞれ地域に根差したきめ細やかなサービスを提供してくれるはずです。
07| マドリームおすすめ、テクノストラクチャーの家
都市計画が進行中のさいたま市浦和美園に、新しい街「みそのウイングシティ」が誕生。大規模プロジェクト「M-WING」内の「カッコ可愛い街」が評判です。
木材と鉄骨を組み合わせた、災害にも負けない高強度な建売住宅。最先端の技術と工法を導入し、安全性とデザイン性を両立させた住まいです。
この記事を書いた人
殿木真美子 ライター