公開日: 2024.09.04 最終更新日: 2024.09.04

【ご当地お菓子】怖いのに愛くるしい! 『怪談』のふるさと、島根・松江の「かっぱ缶」「ゆきおんな缶」

【ご当地お菓子】怖いのに愛くるしい! 『怪談』のふるさと、島根・松江の「かっぱ缶」「ゆきおんな缶」

島根・松江の「かっぱ缶」「ゆきおんな缶」

── 地域のお菓子をひもとけば、その場所の素敵な側面が見えてくる。

お菓子をとおして街のなかにちょっとだけお邪魔する、「ご当地お菓子」連載。
第25回は、島根県の県庁所在地である松江市の「かっぱ缶」と「ゆきおんな缶」を紹介します。

ライター:吉田友希

ライター:吉田友希

01| 小泉八雲『怪談』出版120周年を記念してつくられたクッキー缶

かっぱ缶と、ゆきおんな缶。見ての通り、とても可愛いです。

ワクワクしながらフタを開けると、かっぱとゆきおんなそれぞれのイラストの型抜きサブレと白くて丸いクッキーが入っていました。

「かっぱ缶」の中 「かっぱ缶」の中

「ゆきおんな缶」の中 「ゆきおんな缶」の中

何度でもいいますが、とても可愛いです!

こちらのクッキー缶は、島根・松江で長年親しまれる洋菓子店「松江クロード」が手掛けています2024年は、小泉八雲の『怪談』が出版されて120年、没後120年ということで、記念イヤーを盛り上げるために開発されました。

松江クロードの石川さんに開発エピソードを伺うと、こんな風に教えてくださいました。

「怖いイメージのある『かっぱ』や『ゆきおんな』を、親しみやすく可愛らしく伝えたいと思い、開発しました。イラストは、先代のときから交流がある広島在住のイラストレーター・にしもとおさむさんにお願いしました。いつも楽しく可愛いイラストを描いてくださっていて、今回も素敵です。『可愛い!』と、お子さんにも好評です」。

缶の中にはお菓子のほか、オリジナルのステッカーも入っている。……可愛い! 缶の中にはお菓子のほか、オリジナルのステッカーも入っている。……可愛い!

サブレは素朴でありながらも、バターの風味をしっかりと感じられる洗練された味わいです。サクサクとした心地よい食感が、さらにおいしさを引き立てます。

02| 松江は『怪談』のふるさと。そもそも『怪談』とは?

1904年に出版された『怪談』は、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の代表作です。ひと昔前の国語の教科書でおなじみの「耳なし芳一」や、吹雪の山小屋での出来事からはじまる切ない物語「雪女」など、複数の怪談が作品集として収められています。

ギリシャで生まれた小泉八雲が来日したのは1890年のこと。来日後すぐ、島根県の尋常中学校と尋常師範学校に英語教師として赴任します。松江での滞在を経て、その後、熊本、神戸、東京と拠点を移します。

小泉八雲は松江在住の際に、松江の士族の娘である小泉セツと出会い、後に結婚。松江での滞在は長くはありませんでしたが、松江の文化や風習に強く影響を受けたといわれています。古くから日本で語り継がれてきた怪談に興味を持ったのも松江時代。怪談好きだったセツは、小泉八雲に多くの情報を与え、作品づくりに貢献しています。

2025年度後期の連続テレビ小説では、小泉セツをモデルとした「ばけばけ」が放送予定です。『怪談』出版120年、朝ドラ決定というのもあり、地元ではじわじわと盛り上がっているそうです。

「『小泉八雲』や『怪談』というキーワードは、小さい頃からよく耳にしていました。松江市民にとって、なじみのあるものだと思います。

最近は、また、怪談の認知度が上がっていると感じます。まだまだこれからも盛り上がっていくと思うので、楽しみです」と石川さん。

周年イヤーのために開発されたかっぱ缶とゆきおんな缶ですが、当面の間は販売される予定だそうです。

03| 郷土への愛情を感じられる「松江クロード」のお菓子づくり

画像提供:有限会社松江クロード 画像提供:有限会社松江クロード

松江クロードのお菓子は、どれも島根や松江への愛を感じられるものばかりです。

「松江縁結びぼうる」
画像提供:有限会社松江クロード 「松江縁結びぼうる」
画像提供:有限会社松江クロード

「松江縁結びぼうる」は、かっぱ缶とゆきおんな缶にも入っている、コロンとしたクッキーです。出雲地方が神話と縁結びの地として知られることから縁結びをイメージしてつくられました。和三盆のやさしい甘さを感じられる味わいと、やさしい口どけで、誰もが幸せな気持ちになるお菓子です。

「風土記」
画像提供:有限会社松江クロード 「風土記」
画像提供:有限会社松江クロード

5種類のサブレが入った「風土記」のパッケージには、宍道湖(しんじこ)に浮かぶ嫁ヶ島に夕日が沈む様子が描かれています。

「松江アソート」の包装紙
画像提供:有限会社松江クロード 「松江アソート」の包装紙
画像提供:有限会社松江クロード

包装紙にも松江の要素がいっぱいです。2015年に国宝に指定された「松江城」や、城下町の堀を小舟で巡る「堀川めぐり」、宍道湖沿いに佇む「青柳楼の大燈籠」など、松江クロードから1時間圏内にある観光スポットが描かれています。

04| 「松江の人を喜ばせたい」の想いとともに

画像提供:有限会社松江クロード 画像提供:有限会社松江クロード

松江クロードの原点は、「おいしいお菓子で松江の人を喜ばせたい」という想いです。和菓子屋の三男として生まれた創業者が、フランス修行を経てオープンしたのが同店。以来、地域のケーキショップとして地元の人たちに親しまれ、地域に欠かせないお店となりました。

石川さんに松江の魅力を伺うと、こう答えてくださいました。

「46年前、創業者が松江の街並みに惹かれ、開業しました。お城、温泉、湖、自然、人のやさしさ、おいしいものがギュッと詰まっているまちだと思います。宍道湖の夕日の美しさは、ぜひみなさまにご覧いただきたいです。

私もそんな情景に魅せられ、心を癒されてきました。松江に暮らしている人はもちろん、松江から都会に出た人、松江に観光で訪れた人……みなさまに松江の情景や松江のよさを思い出してもらえる、伝えていけるお菓子をつくり続けたいと思っています」。

店内の様子
画像提供:有限会社松江クロード 店内の様子
画像提供:有限会社松江クロード

島根・松江の「かっぱ缶」「ゆきおんな缶」、ごちそうさまでした。




松江クロード
所在地:島根県松江市上乃木7-10-6
TEL:0852-26-7540
営業時間:9:00~18:30(生ケーキの販売は9:30〜)、カフェ 10:00〜16:30
※店休日は公式HPの営業カレンダーで確認を
※敷地内にあるお菓子の自販機は24時間年中無休で営業中
https://shop.claude.jp/
※かっぱ缶・ゆきおんな缶は、オンラインショップでも購入可能

吉田友希

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