公開日: 2025.08.14 最終更新日: 2025.08.14

【内覧会レポート】猫あるあるがいっぱい「Ukiyo-e 猫百科 ごろごろまるまるネコづくし」へ

【内覧会レポート】猫あるあるがいっぱい「Ukiyo-e 猫百科 ごろごろまるまるネコづくし」へ

7月19日(火)から横浜・そごう美術館で開催されている「Ukiyo-e 猫百科 ごろごろまるまるネコづくし」展。ひろしま美術館でも開催された巡回展です。歌川広重、歌川国芳など江戸時代に活躍した浮世絵師から、歌川芳藤、高橋弘明ら江戸時代後期・明治時代に活躍した浮世絵師まで、31名、147点の猫が登場する浮世絵版画が展示されています。猫らしさたっぷりの仕草をする猫、ちょっと怖い化け猫、擬人化された猫……。いろんな猫を愛でに出かけましょう。

編集部:りょう子

編集部:りょう子

01| 猫たちが主役の浮世絵版画展覧会

丸くて愛らしい猫たちは、今も昔も人々を魅了します。古くは平安時代の『源氏物語』。物語には宮廷で寵愛される猫が登場します。近世になるとさまざまな肉筆画や浮世絵版画に猫が登場。愛猫家として知られる歌川国芳の周りには常に猫がいたそうで、国芳の作品にはたくさんの猫が登場しています。

展開会入り口の風景 展開会入り口の風景

会場入り口には「猫いろは」がずらりと並んでいます。会場内の作品には「猫いろは」が添えられているものがあり、読めば猫の性質がわかるようになっているので、会場を歩きながらチェックしてください。

02| 「猫あるある」がたくさん

第一章「猫の姿」では、毛づくろいをしたり、のびやあくびをしたりと、猫本来の姿を描いた作品が展示されています。猫好きならたまらない、あんな姿やこんな姿が……。


歌川広重《名所江戸百景 浅草田圃酉の町詣》渡邊木版美術画舗

猫を飼っているとよく見る光景「窓辺で外を眺めている猫」です。猫は人間よりも視力が悪いですが、動体視力は人間の4倍あるそうです。だから、窓辺から鳥や虫の動きを見ること自体が猫にとっては大きな喜びなのだそう。

展示風景 高橋弘明《[欠伸をする黒猫]》個人蔵 展示風景 高橋弘明《[欠伸をする黒猫]》個人蔵

気持ちよさそうにあくびをする猫もいました。猫の全身をつかって表現する姿に、人間は憧れているのかもしれません。

展示風景 望月玉泉《玉泉習画帖[後ろ向きの猫]》個人蔵 展示風景 望月玉泉《玉泉習画帖[後ろ向きの猫]》個人蔵

背中の丸みがなんとも愛らしい、後ろ向きの猫です。

浮世絵の隣につけられた「猫いろは」の文章をひとつずつ読んでいくのも楽しい時間です。

展示風景 「れい(例)のごとく袋をかぶっています」 展示風景 「れい(例)のごとく袋をかぶっています」

03| 夏にぴったり? 第三章は「猫七変化」

猛暑日が続く2025年の夏、「ヒヤッ」としたい時には、少し怖い猫の姿を見てはいかがでしょうか? 第三章では、「化け猫」や「猫又」など妖怪として描かれた猫の浮世絵が並びます。暗闇で光る瞳や、夜に行動する習慣、野性的で自由奔放な性格。そのような性質から、猫の妖怪伝説はうまれたそうです。ただ愛らしいだけではない、人間の思い通りにはならない猫の姿が見えてきます。

展示風景 歌川芳藤《五拾三次之内 猫乃怪》個人蔵 展示風景 歌川芳藤《五拾三次之内 猫乃怪》個人蔵

1匹の大きな猫かと思いきや、たくさんの猫が集まって、化け猫の顔をつくっています。目は鈴で描かれています。

展示風景 展示風景

化け猫や猫又のコーナーは、ライトアップも少し怪しげ。

また、猫が歌舞伎役者に化けたかのような「猫役者絵」や、猫キャラ化した町人も描かれました。

国芳の「猫の当字 かつを」では、猫のしなやかな体で文字が表現されています。猫愛と遊び心がたっぷりと感じられます。


歌川国芳 《猫の当字 かつを》 個人蔵

04| 子どもたちのおもちゃにも猫愛があふれる

第4章では江戸末期から明治前半に流行した「おもちゃ絵」の世界が広がります。「おもちゃ絵」とは、子どもの手遊びのために描かれた浮世絵である錦絵のこと。同じジャンルのものを一枚に描いた物尽くしや双六、組み立てて遊ぶものなど多種多様でした。子どもたちが遊ぶためのものなので、現存するものは少ないそうです。

展示風景 歌川芳藤《志ん板猫尽両めん合》個人蔵 展示風景 歌川芳藤《志ん板猫尽両めん合》個人蔵

歌川芳藤の「志ん板猫尽両めん合」は、あくびをする猫や子猫をあやす親猫など、さまざまな猫が描かれています。よく見ると、右上の毛づくろいをする猫と左上の猫の後ろ姿は同じ猫の表と裏。切り抜いて竹ひごの先に貼り合わせて遊んでいたそうです。

展示風景 展示風景

日本初の鉄道が開通すると、蒸気機関車に関する作品が多くうまれました。「志ん板ぜうき車つくし」では、猫たちが蒸気機関車に乗ったり、駅で働いたりしています。


無款(四代歌川国政)《志ん板ぜうき車つくし》 個人蔵

愛らしい姿だけではなく、化け猫や猫又などちょっと怖い姿、擬人化されたひょうきんな姿。さまざまな猫たちの姿を通して、江戸から明治にかけての人々の暮らしが生き生きと伝わってくる展覧会でした。この夏は、自由な猫たちの姿に癒されに出かけてください。

壁にかけられている書き割りを見ていくのも楽しいです 壁にかけられている書き割りを見ていくのも楽しいです

05| 展示会情報はこちら

「Ukiyo-e 猫百科 ごろごろまるまるネコづくし」

開催期間:2025年7月19日(土)~9月2日(火) ※会期中無休
開催時間:10:00~20:00
※そごう横浜店の営業時間に準じ、変更になる場合あり
※入館は閉館の30分前まで
会場:そごう美術館 (横浜そごう6階)
住所:神奈川県横浜市西区高島2-18-1
入場料:
一般/1,400円、大学・高校生 1,200円、中学生以下無料
※障がい者手帳の提示で、手帳保持者および同伴者1名まで無料

りょう子

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りょう子 編集部

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