『うさこちゃんとたれみみくん』2006年 印刷原稿
オランダの絵本作家でグラフィック・デザイナーのディック・ブルーナさんの手によって1955年に生まれたウサギの女の子「ミッフィー(うさこちゃん)」。2025年の誕生70周年を記念して、横浜の「そごう美術館」で展覧会が開かれています。ミッフィーシリーズの絵本全32作品の原画やスケッチなど200点以上が、日本で初めて一堂に会する展覧会の様子を紹介します。
編集部:りょう子
CONTENTS
01| 見どころ①:ミッフィーシリーズの絵本全32作品が集結
1955年の誕生から2009年に渡り、ブルーナさんが50年以上にわたって描き続けたミッフィーシリーズ。1955年に誕生した『ちいさなうさこちゃん』(初版)から、2009年の『うさこちゃんのおじいちゃんへのおくりもの』まで、作品は32点におよびます。
展覧会入口では、各時代のミッフィーがお出迎えしてくれます
展覧会では、32作品全ての原画やスケッチが集結。シンプルな線とブルーナ・カラーと呼ばれる大胆な色づかいで描かれたミッフィーが、家族やお友達とのあたたかなつながりの中でたくさんの経験をしていく様子を1作品ずつたどっていくことができます。
『ちいさなうさこちゃん』(初版)1955年
NIJNTJE(ナインチェ)は、オランダ語で「小さなうさちゃん」といった意味
展覧会の様子
展覧会の様子
展覧会の風景
展覧会風景
遊び心のあるしかけも
32作品を生み出す中で、ブルーナさんの絵本づくりも変化していきました。初期は一般的な色のポスターカラーを使っていましたが、1979年の『うさこちゃんのゆめ』の頃からは特別なブルーナ・カラーを使って色をつける方法を確立。ブルーナ・カラーは、赤・青・黄・緑・茶・灰色の全6色。それぞれの色が主張しつつも、となりあった時には互いを引き出せる色をつくりだしたそうです。
展覧会の様子
全6色のブルーナ・カラー
展覧会の様子
上段が初期に出版された絵本で、下段が現在出版されているもの。色の違いがわかります
02| 見どころ②:初来日となる作品も! 「もっと、もっと」ミッフィーを知って、好きになる
32作品のなかでも注目したいのが、初来日となる『うさこちゃんおとまりにいく』(1988年)、『うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん』(1966年)、『うさこちゃんとたれみみくん』(2006年)の3作品。
『うさこちゃんおとまりにいく』1988年 印刷原稿
『うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん』1996年 原画
『うさこちゃんおとまりにいく』では、お友達の家に初めて遊びに行き、楽しく過ごす姿を、『うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん』は、ミッフィーがおばあちゃんの死に向き合う姿を描いたストーリーです。
また、『うさこちゃんとたれみみくん』(2006年)では、お友達との身体の違いに気づき、考え、勇気を出して行動するミッフィーの姿が描かれています。3作品とも、シンプルな色と線が、穏やかで優しさに満ちた物語を引き立てています。
『うさこちゃんとたれみみくん』2006年 印刷原稿
03| ディック・ブルーナさんってどんな人?
ブルーナさんはオランダ・ユトレヒト生まれ。1955年から約20年にわたり「A.W.ブルーナ&ズーン」社で「ブラック・ベア・シリーズ」と名付けられた2,000冊を超えるペーパーバックの装丁を手がけました。ほかにも、本の販促やイベント告知など多くのポスターも制作していたそうで、膨大な量の仕事を通して、独自のスタイルを築きました。
1953年に初めての絵本『de appel(りんごぼうや)』を発表して以来、120冊以上の絵本を生み出しています。ブルーナさんの作品は全世界で約50の言語に翻訳され、8,500万部以上のロングセラーになっています。
ディック・ブルーナ
Photo: F.André de la Porte
展覧会風景
ブルーナさんが手がけたペーパーバックが並ぶ
展覧会では、ブルーナさんが原語の『うさこちゃんとうみ』(1963年)を読む映像が20年ぶりに再公開されています。やさしく、少しユーモラスも交えながら話すブルーナさんの声に癒されます。
子どもの頃、多くの人が一度は手にしたことがあるミッフィーの絵本。かわいいだけでなく、ミッフィーの考えていることや話す言葉を通して、優しさや思いやりを持つことの大切さを思いださせてくれる展覧会でした。ぜひ、秋のお出かけの予定に加えてください。
© Mercis bV
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内覧会では、花柄ワンピースのミッフィーが登場してくれました
04| 展覧会情報はこちら
「誕生70周年記念 ミッフィー展」
開催期間:2025年9月13日(土)〜11月4日(火)
※会期中無休
開催時間:10:00〜20:00(最終入場は19:30まで)
※そごう横浜店の営業時間に準じ、変更になる場合あり
会場:そごう美術館 (そごう横浜店6階)
住所:神奈川県横浜市西区高島2-18-1
入館料:一般 1,800(1,600)円、高校・大学生 1,200(1,000)円、中学生以下無料
※公式オンラインチケットにて購入の場合は()内の料金
※会期中そごう美術館にて[クラブ・オン/ミレニアムカード、クラブ・オン/ミレニアム アプリ]を提示すると()内の料金
※障がい者手帳の提示で、本人と付き添い1名は入場無料
※内容は変更となる場合あります
この記事を書いた人
りょう子 編集部