東京都区部の中央部に位置する中央区は、千代田区と港区とともに東京の「都心3区」といわれており、日本橋・京橋エリア、銀座エリア、築地エリア、人形町エリア、月島・晴海エリアからなります。
1590年、徳川家康が江戸へ入城した頃はほとんどが葦の生えた潮の浜でしたが、江戸幕府開幕とともに江戸の町割が始まり、1605年頃には日本橋、京橋などの町人地が完成したようです。以来400年以上にわたり、日本の文化・商業・情報の中心として繁栄してきました。
そんな中央区の、暮らしやすさや治安、家賃相場、物件価格をご紹介します。
ライター:MAP&NEWS.net
CONTENTS
01| 概要: オフィス街やショッピング街、下町風情など、さまざまな表情をもつエリア
銀座
© (公財)東京観光財団
東京都中央区は、人口18万4,697人(2024年7月1日現在)、面積は10.115平方kmで、23区内で2番目に小さな区です。
勝鬨橋
東京証券取引所や日本銀行などの金融機関が集まる東京屈指のオフィス街・日本橋は、江戸時代から江戸の中心地だったエリア。近年はオフィスだけでなくショップも入る複合ビルも増えてきました。
百貨店や世界的なブランドショップが軒を連ねる銀座は、海外からの観光客も多く訪れます。さまざまな食の専門店が集まる築地場外市場がある築地は下町の風情を残し、月島や晴海などの臨海部にはタワーマンションが数多く立ち並んでいます。
築地場外市場
そんな日本一の商業エリアである中央区ですが、浜離宮恩賜庭園や浜町公園といった緑豊かな公園が多く整備されていて、都心にいながらも自然と触れ合える魅力もあります。水天宮や築地本願寺などの神社や寺院も数多くあり、祭りの時期は活気が溢れます。
月島もんじゃストリート
02| アクセスと主要駅:数多くの路線が走り、都内外各所へのアクセスは抜群
東京メトロ/都営地下鉄日本橋駅
中央区には、JR総武本線・JR京葉線・東京メトロ丸ノ内線・東京メトロ銀座線・東京メトロ日比谷線・東京メトロ東西線・東京メトロ有楽町線・東京メトロ半蔵門線・都営新宿線・都営浅草線・都営大江戸線と、計11本の路線が走っています。都内各所へのアクセスはもちろん、埼玉や千葉、神奈川など近隣の他県へもアクセスしやすい立地です。
東京メトロを使えば、銀座駅から新宿駅、渋谷駅までは乗り換えなしで約15分、日本橋駅からは徒歩で東京駅に行ける近さで、羽田空港や成田空港へは特急電車やリムジンバスなどが本数多く走っています。
東京メトロ銀座駅
鉄道以外では、八重洲、京橋、日本橋を結ぶ無料巡回バス「メトロリンク日本橋」のほか、都営バスや区内を走るコミュニティバスも運行しています。
東京メトロ京橋駅
03| メイン駅周辺の様子:ショッピングとオフィスの機能をあわせ持つ複合商業施設が集まる
日本橋北詰交差点
中央区の主要駅、日本橋駅や京橋駅、銀座駅周辺は東京きってのオフィス街でありつつも、きらびやかなショッピングエリアでもあります。
日本橋駅すぐには、日本を代表する百貨店の「日本橋高島屋S.C.」や「COREDO日本橋」があり、生活シーンのあらゆる品々が揃います。
京橋駅付近の街並み
京橋駅に隣接する「京橋エドグラン」にはショッピングエリアとオフィス、広場があり、オフィス街に爽やかな活気をもたらしています。京橋駅直結の「東京スクエアガーデン」もまた、オフィス、コンベンションホール、医療施設とショップ・レストランがある商業ゾーンが融合した施設です。
銀座四丁目
銀座駅周辺には、1930年に開業した老舗百貨店「銀座三越」や、2016年開業で伝統とトレンドを共存させたテナントが魅力の「東急プラザ銀座」などがあります。銀座のランドマークで、時計塔が有名な「和光」は、時計、宝石、バッグなどの高級専門店です。銀座通りにはハイブランドの路面店が立ち並び、外国人観光客にも人気のエリアとなっています。
04| 治安:長期的には治安はよくなっている傾向
警視庁によると、2023年の東京都中央区の刑法犯発生件数(認知件数)は1,828件。そのうち窃盗犯の割合がもっとも多く、53%を占めています。対して凶悪犯は1%、粗暴犯は10%の割合です。
人口に対しての犯罪認知件数は東京23区内では高めであり、理由としては、繁華街・商業地域が多く、外部から人が多く集まるということが挙げられそうです。ただ、10年前の中央区内での犯罪発生件数からは69.2%に減少しており、全体の傾向として治安はよくなっているといえます。
区の取り組みとしては、区内犯罪や不審者情報、災害情報や消費生活情報などを無料で配信する「ちゅうおう安全・安心メール」を実施しています。
05| 中央区の歴史文化やショッピングが楽しめる休日のお出かけスポット3選
江戸時代から続く名店や施設が充実する中央区。歴史や景観を感じて楽しめる人気のスポットを紹介します。
①日本の伝統芸能を毎月上演、世界に誇る劇場「歌舞伎座」
歌舞伎座
音楽(歌)、舞踏(舞)、演劇(伎)で構成される日本の伝統芸能、歌舞伎の殿堂として世界に誇る劇場。年間を通じて毎月歌舞伎を上演している唯一の劇場で、1889年に開場して以来、伝統と格式を守りつつ、進化を続けています。
手ごろな料金の一幕見席も常備しているので、初心者でも気軽に観劇できます。2013年4月に開場した現在の劇場は、長年親しまれた第四期歌舞伎座の外観や内観を受け継ぎつつも、最新鋭の設備を備えた劇場・オフィスタワーからなる複合施設です。
地下2階にある「木挽町広場」では、歌舞伎の関連グッズや和雑貨、和菓子などを購入できます。
②高層ビル群と四季折々の自然とのコラボが壮観の「浜離宮恩賜庭園」
浜離宮恩賜庭園
© (公財)東京観光財団
潮入の池と2つの鴨場を持つ江戸時代の代表的な大名庭園です。潮入の池とは、海水を導き潮の干満によって池の趣を変える池のことで、江戸には数多くありました。
現在、実際に海水が出入りしている潮入の池があるのは、この浜離宮恩賜庭園だけです。1948年に国の名勝および史跡に、1952年には国の特別名勝および特別史跡に指定されています。
見どころは、四季折々の花々と高層ビル群とのコラボレーション。春は約30万本の菜の花が咲き誇り、壮観です。
③散策しながらショッピングも楽しめる「晴海トリトン」
晴海トリトン
© (公財)東京観光財団
「晴海アイランドトリトンスクエア」内の複合商業施設。南欧の街並みを再現したショッピングゾーンには、約60店舗のショップとレストランが戸建のように並んでいて、晴海の景観ともマッチしています。
「トリトンガーデン」には、「花」「緑」「水」をテーマにした三つのテラス空間と、南北に位置する二つのパークがあり、地上・建物上・壁面の約6,600平方mの緑地に約700種20万株の植物と野鳥や昆虫が共生する、都会のオアシスになっています。専属ガーデナーが常駐管理しているので、旬の花を季節ごとに楽しめます。
06| 独自の支援制度:子育て中の両親が仕事と子育てを両立しやすい制度が充実
中央区では区立幼稚園全園で、教育時間の終了後や夏休みなどの長期休業期間に預かり保育を実施しているほか、0歳児から2歳児クラスまでの第2子以降の子どもの認可外保育施設での保育料の補助、保育園に入園できなかった1歳児クラスの子どもを期間を限定して預かる「期間限定型保育事業」など、子育て中の両親が仕事と子育てを両立しやすい制度が数多くあります。
このほかにも、産前産後の家事援助などを必要としている人に、地域に居住している協力会員が家事などのお手伝いをする「虹のサービス」や、保護者の就労状況にかかわらず、児童が放課後や土曜日などに安全に安心して過ごせる、小学校内の「プレディ(子どもの居場所)」、独自の子育て支援サービスが充実しています。
07| 知っておきたい家賃相場と新築物件の価格帯
東京都中央区の賃貸物件の家賃相場は次の通りです。
1LDK:211,500円
2DK:206,900円
2LDK:280,700円
3DK:280,300円
3LDK:370,500円
東京都中央区の中古マンションの価格相場は、9,700万円台となっています。中央区のなかで物件がもっとも安いエリアは、東日本橋駅、馬喰横山駅、馬喰町駅のある一帯で、東銀座駅周辺よりも約3万円賃料が安くなっています。
東京都中央区のワンルーム・1K・1DKの家賃相場は122,900円で、新宿区や文京区と比べると1~2万円高い相場ですが、千代田区や港区と比べると1万円低い相場になっています。「都心3区」のなかではもっとも物件を借りやすいエリアといえるでしょう。
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