新型コロナウイルスによる行動制限は緩和されつつありますが、まだまだお家時間が多いと思います。ここ数年で、お家での過ごし方がより重要視されるようになってきましたよね。テレワークをする機会も大幅に増えたため、仕事をする室内空間へのこだわりも。そのような状況で、注目されているのが「インナーバルコニー」です。このコラムでは、インナーバルコニーについて詳しく見ていきましょう。
ライター: 殿木真美子
CONTENTS
01| インナーバルコニーとはどんなもの?
インナーバルコニーとは、インナー(内部、内側)にあるバルコニーのことを指します。では、バルコニーとは何かというと、建物の2階より上の室外に張り出した手すりつきの場所のことです。
つまり、インナーバルコニーとは、「建物の2階以上につくられる、バルコニー部分が建物の内側に引っ込んでいる形状のもの」。床材がタイルなど屋外で使われるものになっていることが多いようです。そもそもバルコニーは建物から張り出した屋根のないスペースを指すのに対し、インナーバルコニーは建物の一部が屋外になった、屋根のある空間となります。
ちなみに、屋根などがついている場合はベランダ、建物の1階部分から張り出した地面よりも一段高い屋外スペースのことをテラス、さらに建物の1階にある半屋外空間のことは、インナーテラスと呼びます。
庭の緑をのぞむインナーテラス
インナーバルコニーに似たものにサンルームがありますが、サンルームは屋根や壁がガラス張りになっている屋内空間であるのに対して、インナーバルコニーは天井や壁、窓で囲まれている半屋外空間です。
「ヘーベルハウス フレックス レジデンス 成城モデル」の、リビングと一体になったインナーテラス
02| インナーバルコニーのメリットとは?
部屋にいながら、屋外の雰囲気を楽しめるインナーバルコニー。そのメリットはどこにあるのでしょうか?
<インナーバルコニーのメリット>
- 半屋外ならではの開放感を味わえる
- 天候の影響を受けにくい
- 床がタイルなどになっているため、汚れを気にしなくてもいい
- 家が広く感じられる視覚効果がある
- 天井や壁に囲まれているため、防犯面でも安心
などなど、いいことずくめですね! 特にお家時間が増えた人にとって、部屋のなかでアウトドア気分が楽しめるインナーバルコニーは、外を感じるのにうってつけです。土地の面積が狭い場合には、お庭代わりとして使うこともできます。リビングとひと続きの空間として設ければ、大勢の人を呼んでホームパーティをするときにも大活躍しそうです。
03| 施工時の注意点をチェック
ただし、インナーバルコニーには、注意すべき点も。例えば、バルコニーに面した窓部分に屋根があるため、奥行きのあるインナーバルコニーの場合は、隣接する部屋が暗くなってしまいます。また、インナーバルコニーは建物の内部として扱われるので、延べ床面積に含まれます。固定資産税は延べ床面積をもとに算出されるため、通常のバルコニーをつけた場合と比べると、固定資産税が高くなってしまうのは避けられません。
また、普段家族がよく使う場所から遠い、個室からしかアクセスできない、部屋との段差があって出入りしにくいなど、間取りによってはあまり使われなくなってしまうケースもあるので、気をつけた方がいいでしょう。住宅密集地では隣家からの視線が気になる可能性もあるため、視界を遮るルーバーやフェンスなどの高さにも注意が必要です。また、用途によっては照明やコンセント、スロップシンクなどを設置するとより便利になります。
旭化成ホームズの「のきのま」は、玄関ポーチを兼ねたアウトドアリビング
04| こんなにある! インナーバルコニーの活用法
では、インナーバルコニーの上手な活用方法をご紹介しましょう。
- 植物を育てる
屋外でも使える床材を使用しているため、汚れにくいのがインナーバルコニーの利点。観葉植物を部屋において、床が汚れて後悔した人も、インナーバルコニーなら安心です。植え替えなどをして土や水がこぼれてもさっと拭けばOKですし、緑がいっぱいのバルコニーが眺められるリビングは気持ちがいいもの。収穫が楽しみな野菜を育て、インナーバルコニーで家庭菜園にチャレンジするのもいいかもしれません。 - 子どもとプール
小さな子どもがいる家庭にとって、夏場には欠かせないプールも、インナーバルコニーなら人目を気にせず楽しめます。
人目を気にせず、インナーバルコニーでプール遊び
- ソファを置いてリラックス
ガーデン用のソファやテーブルを置けば、アウトドアリビングに早変わり。プライバシーを守りつつ、半屋外の心地よい空間で、ゆったりとリラックスできます。 - 友達を呼んでバーベキュー
部屋のなかだと臭いが気になるバーベキューも、インナーバルコニーなら問題ありません。また、少しくらい食べ物を落としてしまっても大丈夫です。
- 家族でキャンプ
広いインナーバルコニーなら、思い切ってテントを張ってキャンプの雰囲気を楽しんでみるのもおすすめです。本格的なキャンプ用の調理器具がなくても、コンセントを引っ張ってくればホットプレートなどで簡単に調理できますし、夜にはランタンの明かりで過ごしても。 - 安心して洗濯物干し
最近は共働きの家庭も増え、洗濯物を干すのはもっぱら室内で、という家も多いようです。でも、せっかく気持ちよく晴れた日には洗濯物をお日様に当てたいもの。インナーバルコニーに干せば、急な雨でも急いで取り込む必要がないし、適度に日光も当たり、気持ちよく洗濯物が乾きます。 - 趣味のアイテムをメンテナンス
自転車やキャンプ道具、釣り具などアウトドアの趣味を持つ人にとって、道具をメンテナンスする時間は楽しいものですが、どうしても床が汚れるのが気になります。インナーバルコニーなら、汚れを気にせず、じっくり取り組むことができます。 - 日曜大工
床の汚れを気にせず作業できるという点では、ちょっとした日曜大工をするのにも適しています。
もちろん、上記以外の使い方も。普段の食事をインナーバルコニーでとったり、ハンモックを置いてゆったり読書をしたり、机といすを置いてテレワークをしたり……さまざまな活用方法が考えられるのがインナーバルコニーの魅力ですね。
05| インナーバルコニーをつくるには?
では、「インナーバルコニーをつくりたい」と思ったら、どうすればいいのでしょうか?
- 建売住宅
一番簡単な方法は、インナーバルコニーを採用した建売住宅を購入すること。ただし、前述したようにインナーバルコニーを設けるには間取り制限などもあるため、建売住宅にはそれほど多くないのが実情です。 - 注文住宅
少々値は張りますが、自分たちの思い通りのインナーバルコニーがつくれることは間違いないですね。 - マンション
新築の分譲マンションでインナーバルコニーをプランに組み入れているところは、おそらくほとんどありません。あるとすれば、超高級マンションでしょう。ただ、マンションにもインナーバルコニーを設けられる方法があります。それはリノベーション。
06| リノベーションで、インナーバルコニーをつくる
最近、中古マンションを買ってリノベーションをする人のなかに、バルコニー側の窓に面した室内の一部の床材をタイルなどにして、インナーバルコニー風の空間をつくる人が増えています。
リノベーションで窓際にインナーバルコニーを設けた例
床材を変えるだけで場が分けられ、便利度が増す
床材を変えるだけで、ひと続きの空間を分けることができますし、タイルなど水や汚れに強い素材にすれば用途も広がります。
リノベーションをした人に「なぜインナーバルコニーをつくったのか」を聞くと、「趣味で育てている観葉植物をたくさん飾りたかったから」、「ペット用のケージを置くため」などのほか、自転車やキャンプグッズを置いたり、書斎や子ども部屋として使用したり、部屋干し用のおしゃれなランドリーポールを天井につけたり、空間に「抜け」をつくるため、単にデザインとして取り入れたりしている人もいました。自由な発想のリノベーションだからこそ、可能になったプランですね。
07| まとめ
いかがでしょうか? 家に居ながらにしてアウトドア気分が楽しめるインナーバルコニーでリラックスしたくなってきたかと思います。これから注文住宅を建てる予定がある方は、ぜひ検討を。
緊急事態宣言で家から出られなくなった時に、家の中にこもってフラストレーションをためていた人も多かったと思います。加えて、テレワークが増えたことで、長い時間、家族とはいえ大勢で一緒にいることに、時にストレスを感じることもあると思います。そんな時、インナーバルコニーがあれば簡単にリフレッシュできそうですね。
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殿木真美子 ライター