東京の北の玄関口「赤羽」。JR各線が乗り入れる赤羽駅は都内でも重要なターミナル駅として利用されており、駅前から続く商店街はいつもたくさんの人でにぎわいをみせています。今回は「住みやすい!」と評判の活気あふれる赤羽を訪れて、地元民の暮らしに密着している商店街や飲食店を取材します。
ライター:鈴城久理子
CONTENTS
01| 地元民の胃袋を満たす 「赤羽一番街商店街」
約400メートル続くメインストリートを中心に、飲食店など約100店舗が軒を連ねます
戦後の焼け跡から復興し、70年以上の歴史を持つ「赤羽一番街商店街」は、数ある赤羽の商店街の中で最も古い商店街です。その魅力を教えてくれたのは商店街振興組合事務局長の山縣さん。「下町っぽさや人情味、フレンドリーさ、というのが人気の秘密だと思います。以前はディープな飲み屋街という印象でしたが、最近は女性客が増えて昼間から女性同士でお酒を楽しむ姿も見られます。SNSでは、商店街や赤羽を“エモい”と評して投稿する人も多いようですよ」
商店街のキャラクター“あいちゃん”がお出迎え(左)。赤羽名物コレクションのカプセルトイを発見!(右)
メインストリートからちょっと横道にそれると、いろんな発見ができるのもこの商店街のおもしろさ。飲み屋さんの店先で見つけたのは、地元の人ならだれもが知っている人物やスポットなどを集めたカプセルトイ。残念ながらすべて売り切れでした……。
「1,000円でべろべろに酔える」というところから、せんべろの聖地と呼ばれるようになったそう
画像提供:ともに赤羽一番街商店街振興組合
日が暮れてくると、日中とはまた違う顔をのぞかせます。「この商店街の特徴は飲食店が多く、多種多様な味を楽しめるところ。飲み屋で飲んでいると、隣に座った人とすぐ友だちになれることも多々あるんです。さみしかったり落ち込んでいたりしても、ここに来ると元気をもらえる。それがこの商店街、そして赤羽の最大の魅力なのではないでしょうか」。
赤羽一番街商店街
問い合わせ先:東京都北区赤羽1-23-6(赤羽一番街商店街振興組合)
URL:https://www.1bangai.org
02| 昔ながらの喫茶店 「友路有(トゥモロー)赤羽本店」
フレンチトースト(780円)は人気のメニュー。ピンクのル・クルーゼのお皿に盛り付けられていました
地元民や仕事で通う人々にとって“赤羽の喫茶店”といえば、まさにこのお店。駅のすぐそばという立地のよさと、早朝から夜遅くまでコーヒーと食事を楽しめるのが魅力です。「ほかの喫茶店と比べて、フードメニューが多いのがうちの特徴ですね。特にモーニングには力を入れていて、洋食はもちろん和食も用意しています」と店長の岩倉さん。忙しい朝でも焼き魚定食や納豆定食など、栄養バランスがいい食事がとれるのは何ともうれしい限り。
ブレンドコーヒー(540円)はコクがあって美味(左)。ドリップパックアソート5個入り(680円)も店内で販売中(右)
創業以来愛され続けているブレンドコーヒーは、しっかりとした苦味が楽しめて、重厚感のあるコーヒーが好きな人におすすめ。店内ではオリジナルの友路有ブレンド豆やさまざまな味のドリップパックも販売しています。浮世絵風のイラストのパッケージが、海外からのお客さんにも好評なのだとか。
赤羽駅東口から徒歩約1分、ミスタードーナツ脇の階段を上った2階(右)。時計やランプなどが飾られた店内(左)
店内はしっとりとした趣のあるインテリアで、つい長居したくなる心地よさ。「人気なのは外が眺められる窓側の席です。女性が一人で食事やコーヒーを楽しむ姿も多く見られます」。
友路有(トゥモロー) 赤羽本店
所在地:東京都北区赤羽1-1-5-2F
電話:03-3903-5577
営業時間:5:30~22:00
定休日:1月1~2日
URL:https://kissaten.jp
03| 魚不足をおいしく解決してくれる 鯵専門店「鯵家」
取材の日にいただいたのは、店長おすすめの鯵家定食(840円)。マアジ丼(小)とマアジフライのセット
鯵(アジ)オンリーの専門店とあって、オープン以来地元の人だけでなく遠くからも、さらには有名人までもが足しげく通う「鯵家」。お目当ては佐賀県の唐津湾から取り寄せた新鮮な鯵。店長の中西さんは以前、青魚が苦手だったというから驚きです。「実はずっと苦手意識があったのですが、ここで提供している新鮮な鯵を食べてみたらとりこになりました。いまではほぼ毎日お店で鯵を食べています。身が厚くて歯ごたえも抜群なんです!」
メニューを決めたら販売機で食券を購入(左)。カウンターもあり、一人でも食事しやすい(右)
このお店のファンが多いもう一つの理由は、メニューの豊富さ。定番のフライや丼のほか、アジメンチ、なめろう、焼きアジ、マアジユッケなどいろんな味が楽しめます。「鯵のすべての部分を使ってメニューを考えています。ムダにする部分は一つもありません。鯵の青臭さが苦手という方は、食べやすいアジメンチやアジナゲットからお試しいただきたいですね」
定食のフライをもっと食べたくて、揚げ物をセットにしたフライボックス(880円)をテイクアウト
「もっと食べたい!」「お家で食べたい!」という人には、種類豊富なお持ち帰りメニューがおすすめ。テイクアウトした鯵家フライBOXはアジフライ、アジメンチ、アジナゲットがセットになって、キャベツとケチャップ付き。アジナゲットはチキンナゲットのようで何個でも食べられそう。またアジフライは小ぶりで女性でもかぶりつきやすいのがポイント。
鮮やかなブルー&白の看板とたくさんののぼりが目印。赤羽駅東口から徒歩約5分
「魚を食べたいけれど料理するのが無理」「健康のためにも魚をもっと気軽に食べたい」。そんな人はぜひ一度、足を運んでみてください。
鯵家
所在地:東京都北区赤羽2-12-3-1F
電話:03-6903-8236(お持ち帰りは注文の予約も可)
営業時間:10:00~15:30、17:00~21:00(L.O.20:40)
定休日:年末年始(鯵の仕入れ状況によって異なる)
URL:https://www.ajiya.info
04| “ただいま!”と帰りたい 「手打ら~めん満月」
キャベツなどがたっぷり入ったしょうゆ味の野菜らーめん。野菜らーめんはしょうゆ、味噌、塩から選べます。メニューが豊富にあるのもうれしい
昭和49年の創業以来、約半世紀もの間おいしいらーめんを赤羽で提供してきた「手打ら~めん満月」。現在の店主である萩谷さんは二代目で、奥さんと二人三脚でお店を切り盛りしています。「父親の仕事をずっと見てきたので、その基本を守りつつ、いまらしさや自分らしい味をプラスするように心がけています。この店を継ぐ前は和食の修行をしていたこともあり、らーめんにも四季が欲しいと思って、それぞれ季節ごとの特別メニューも用意しています」。
特別に見せてもらったチャーシュー(左)。厳選した小麦粉と水、カン水、少量の塩で練り上げた体に優しい麺(右)
この店の人気の秘密は何といっても絶品の手打ち麺。ほどよい太さとちぢれ具合、モチモチの食感。さらに多くのファンを魅了するのは、萩谷夫妻のフレンドリーさ。「父親の代から通ってくださっていたお客様の中には、五代にわたってご愛顧くださっているご家族もいるんです。『ただいま!』と笑顔で入っていらっしゃるお客様もいるくらいですよ」
壁には麺が出来上がるまでの作業風景が展示。らーめんがテーブルに届くまで眺めているのも楽しい
平成3年に移転した現在の店舗は、モダンで清潔感あふれるインテリア。女性一人でも気兼ねなくらーめんを楽しめるような雰囲気です。特筆すべきは、壁に飾られたご主人の写真。右からたどっていくと、青竹を使った手打ち麺が出来上がっていく様子を知ることができます。
赤羽駅西口から徒歩約2分、トレードマークの愛らしいたぬきが出迎えてくれます
「家族経営なので忙しいときはお客様にちょっとお待ちいただくこともありますが、いつも一皿一皿丁寧に作っていきたいと思っています」
手打ら~めん満月
所在地:東京都北区赤羽西1-37-3 赤羽アイ・エスビル1F
電話:03-3900-5602
営業時間:火曜~金曜11:30~14:30、17:30~20:00/土曜・日曜・祝日11:30~15:00、17:30~20:00(いずれも麺がなくなると時間内に終了することもあり)
定休日:月曜(月曜が祝日の場合は翌日に振替、不定期で月に一度連休あり)
URL:https://mangetutanuki.com
05| 懐かしいパンに出会える 「サンロールオオミヤ」
あんぱんやメロンパンなど、定番のパンがずらり。甘いパンのほかサンドイッチなども並びます
店内に足を踏み入れると、漂ってくるのはパンの甘い香り。中央に置かれたトレイには、昔懐かしいパンの数々が並びます。赤羽のパン屋の中で最も古い歴史を持つ老舗「サンロールオオミヤ」。創業はなんと1919年! 100年以上も赤羽でお店を続けているそう。現在の店主である岸田さんは四代目。「お客さんはほとんど地元の方ですね。うちはいまどきのしゃれたパン屋さんとは違って、作り方も昔からあまり変わらないんですよ」と微笑みます。
ガラス窓の向こうが作業スペース。ロゴの書体や薄紫の壁がレトロな雰囲気を醸し出しています
「特別な材料は何も使っていません。質のよい小麦粉やバターを使って、ただきちんと作りたいと思っているだけなんです」。そう語る岸田さんの表情には、パンやものづくりに対する誠実さが反映されているよう。素朴なパンにも、それが表れているのかもしれません。
一番古くからあるのが甘食(左)。イチゴクリームチーズ(170円)とアップルクリーム(170円)(左)
子どもの頃に食べたような懐かしい気分にさせてくれるのは、ラインナップやお店の佇まいだけではありません。女性に人気というフルーツ入りのパンを購入して味わってみると、期待を裏切らない素朴なおいしさ。特にイチゴクリームチーズは幼いころに食べたいちごみるくキャンディーの味を彷彿とさせ、「もっと買ってくればよかった!」と後悔するほどのおいしさでした。
赤羽駅東口から徒歩で約5分、赤羽一番街商店街から奥右手の赤羽中央街商店街にあります
「個人店なので焼き上がったパンから少しずつ並べています。いちばん種類が多いのは12~13時頃のお昼どき。通りがかることがありましたら、お気軽に立ち寄ってみてください」。
サンロールオオミヤ
所在地:東京都北区赤羽1-35-2
電話:03-3902-1241
営業時間:木曜・金曜10:00~19:00/土曜・日曜11:00~19:00
定休日:月曜~水曜
この記事を書いた人
鈴城久理子 ライター
雑貨紹介や料理、インテリアなど暮らし系の記事を中心に執筆することが多いライター。ただいまメダ活実践中。