公開日: 2023.04.27 最終更新日: 2023.10.26

【地元民が集う場所】公園・歴史・下町情緒となんでも揃う憧れの街、石神井公園 ~vol.3 商店街・歴史編~

【地元民が集う場所】公園・歴史・下町情緒となんでも揃う憧れの街、石神井公園 ~vol.3 商店街・歴史編~

商店街で見つけた親切な看板。菓子店の看板も風情があります

vol.2のショップ編に続いて、最後は石神井公園エリアの古くからある商店街やさまざまな角度から歴史を紹介しているふるさと館、そして5月に開催される石神井城にまつわるお祭りについて紹介します。

ライター:鈴城久理子

ライター:鈴城久理子

01| 石神井公園への散歩道

石神井公園商店街

70年余の歴史の中で、少しずつ変貌を遂げてきた商店街 70年余の歴史の中で、少しずつ変貌を遂げてきた商店街

石神井公園駅を出て西方向へ進むと、見えてくるのは賑やかな通り。ここは、石神井公園駅南口前から石神井公園のある西側へとのびる、全長350メートルの商店街。昔ながらの下町情緒あふれるお店や看板が目立つチェーン店など、大小さまざまな店舗が軒を連ねています。創立されたのは昭和25年で、戦後間もなくから住民に親しまれてきた歴史あるエリアです。

電柱に取り付けられた商店街のシンボル。左は新しく、右は古そう。右には鳥が一つないのもご愛敬 電柱に取り付けられた商店街のシンボル。左は新しく、右は古そう。右には鳥が一つないのもご愛敬

このエリアは駅前通り、銀座通り、庁舎通り、公園通りの総称として「パークロード石神井」と呼ばれています。“石神井公園の散歩道”として、公園への入り口にもなっているところ。上を見上げると、「パークロード石神井」のシンボルが。新旧見比べてみると、歴史を感じますね。

公園までの分数を教えてくれる親切な看板(左)。ずっと先に銭湯の煙突が。レトロな外観に思わず足を止めました(右) 公園までの分数を教えてくれる親切な看板(左)。ずっと先に銭湯の煙突が。レトロな外観に思わず足を止めました(右)

ぶらぶらと歩いていると気になるものがあちこちに。公園への案内看板を見ていたら、隣のお菓子屋さんの看板に興味をそそられ、つい入りそうになってしまいます。また、建物の間から銭湯の煙突が見え、下町情緒が色濃く残っていることに不思議な安堵感を覚えました。

爽やかで飲みやすい“ハナトコイシテ”(360ml・960円) 爽やかで飲みやすい“ハナトコイシテ”(360ml・960円)

さらに歩いていくと、酒屋さんの店頭におしゃれな日本酒を発見。お店の人にたずねてみたら、世界的に有名な植物学者、牧野富太郎博士の生誕150周年を記念して醸されたお酒とのこと。博士の詠んだ歌「草をしとねに 木の根を枕 花と恋して九十年」から名付けたられたといいます。

パッケージに描かれているのは博士が愛したバイカオウレンだそう パッケージに描かれているのは博士が愛したバイカオウレンだそう

石神井公園ではありませんが、隣町の大泉学園は牧野博士が最後の住まいに選んだ場所で、牧野記念庭園も造られています。きっと石神井公園にも訪れたのでは? とお店の人と会話を楽しみました。そういえば牧野博士はNHK連続テレビ小説「らんまん」のモデルにもなっていますね。


石神井公園商店街振興組合
URL:http://www.shakujii.net

02| 石神井公園と練馬の歴史をたどる

石神井公園ふるさと文化館

石神井公園に隣接しているので、公園散策のついでに訪れてみたいところ
画像提供:石神井公園ふるさと文化館 石神井公園に隣接しているので、公園散策のついでに訪れてみたいところ
画像提供:石神井公園ふるさと文化館

長らく練馬区に住みながら、意外に知らないことも多いことに気がつき、石神井公園と練馬についてひもとくために訪れたのが、この「ふるさと文化館」。公式HPによると、練馬区の歴史や伝統文化、自然などについて体験しながら楽しく学ぶことができ、観光情報も発信する博物館なのだそう。

練馬の名産品といえば“練馬大根”。でも実は一度も食べたことがなく、私にとっては幻の大根です 練馬の名産品といえば“練馬大根”。でも実は一度も食べたことがなく、私にとっては幻の大根です

館内で真っ先に向かったのは “練馬大根”のコーナー。解説によると江戸時代から栽培されており、この地方の表土は深くて大根栽培の適地だったことから、次第に国内有数の産地となったとあります。誕生伝説などもあり、いかにこの土地で重要な作物だったかがうかがえます。練馬大根は青首大根に比べて細長く、土から抜く作業が大変なのだとか。生産量が少なく価格が高いため、スーパーなどではなかなか手に入らないそうですが、いつか食べてみようと密かに決心しました。

ちょうちんと「中華そば」ののれんが郷愁を感じさせる、昭和の佇まい ちょうちんと「中華そば」ののれんが郷愁を感じさせる、昭和の佇まい

次に見に行ったのは昭和30年代後半の駅前広場。高度経済成長期の練馬区内の情景を、原寸大ジオラマで再現した体験コーナーです。メニューが書いてある看板やショーケースなど、懐かしさを誘うものばかり。

オート三輪のダイハツミゼット。昭和30年代の爆発的なヒット商品 オート三輪のダイハツミゼット。昭和30年代の爆発的なヒット商品

ひときわ目を引くレトロな三輪車、ダイハツミゼットを発見。解説によると、この車、安価で積載力があり小回りが利く点が人気を集め、ヒット商品になったのだそう。残念ながら、昭和40年代に入ると、軽四輪トラックの登場により生産が終了してしまいました。今の時代にはないレトロな丸いフォルムが可愛らしい。板壁に打ち付けられたカラフルな看板も目を引きます。

昭和40年代の一般住宅、石神井町にある「柴田家」の一室 昭和40年代の一般住宅、石神井町にある「柴田家」の一室

こちらは石神井町5-12-16にある三世代同居の柴田太郎さん宅という設定のお宅。ポストに住所が書かれているのですが、実はこれはふるさと文化館の住所なんです。テレビやタンス、ちゃぶ台などが並び、まるでお茶の間劇場のドラマのセットのよう。細部までこまかく作り込まれていて遊び心あふれる再現ジオラマでした。

アニメーション撮影台。隣町の東大泉にある東映アニメーションで、日本アニメの草創期から使用されていたとか アニメーション撮影台。隣町の東大泉にある東映アニメーションで、日本アニメの草創期から使用されていたとか

練馬とアニメーションは切っても切れない関係です。アニメーションについて展示しているところには、こんな立派なアニメーション撮影台が陳列されていました。多段式のマルチプレーンカメラスタンで、昭和34年製の35ミリカメラが備わっています。この撮影台で、「宇宙戦艦ヤマト」(1977)や「さよなら銀河鉄道999」(1981)など、いくつもの作品が撮影されたと解説にありました。

石神井公園に限らず練馬区のさまざまな歴史や文化、産業などに触れ、また知識を増やすことができて大満足の一日でした!


練馬区立 石神井公園ふるさと文化館
所在地:東京都練馬区石神井町5-12-16
電話: 03-3996-4060
開館時間:9:00~18:00
休館日:月曜(月曜が祝休日のときは、その直後の祝休日でない日)、年末年始
入館料:常設展示は無料

03| 石神井公園の一大イベント

照姫まつり

室町時代の伝説上の女性で、豊島泰経の娘、照姫。まつりの主役です
画像提供:照姫まつり事務局 室町時代の伝説上の女性で、豊島泰経の娘、照姫。まつりの主役です
画像提供:照姫まつり事務局

照姫まつりは昭和63年から開催されている練馬区の2大まつりのひとつで、石神井周辺に伝わる室町時代の石神井城主、豊島泰経(としまやすつね)とその娘の照姫(てるひめ)の伝説にちなんだもの。2023年は5月14日(日)に開催される予定です。会場となる石神井公園や石神井公園駅前、駅と公園を結ぶ商店街には毎年多くの人が訪れ、華やかな照姫行列やステージ、物産品の販売などを楽しむことができます。

石神井公園の野外ステージでは舞台演技「照姫伝説」が催されます
画像提供:照姫まつり事務局 石神井公園の野外ステージでは舞台演技「照姫伝説」が催されます
画像提供:照姫まつり事務局

まつりの最大の見どころは、照姫、泰経公、奥方を中心に勇ましい武者に扮した約100名が石神井公園周辺を練り歩く照姫行列。舞台演技「照姫伝説」の最後には、行列の出発を告げる「エイ・エイ・オー」の鬨(とき)の声を、来場者と一緒に上げるのが恒例となっています。

石神井公園の各広場に数多くの模擬店が出店
画像提供:照姫まつり事務局 石神井公園の各広場に数多くの模擬店が出店
画像提供:照姫まつり事務局

地元の名品や練馬区の友好都市などの地方物産展、まつり定番のフードなどの模擬店が出店し、これを目当てに足を運ぶ人も多いとか。さて、今年はどんなまつりになるのか、今から楽しみです!


照姫まつり
開催地:都立石神井公園および西武池袋線石神井公園駅前とその周辺
問い合わせ先: 050-3627-8907(照姫まつり事務局)
URL:https://teruhime-matsuri.com

04| まとめ

3回にわたってお届けした石神井公園の街紹介、いかがでしたか? のんびりと公園を散歩するもよし、お気に入りのお店を訪ねるのもよし、歴史や文化に触れるのもよし。取材を通して、さまざまな楽しみ方ができるこの街がますます好きになりました!

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鈴城久理子

この記事を書いた人

鈴城久理子 ライター

雑貨紹介や料理、インテリアなど暮らし系の記事を中心に執筆することが多いライター。ただいまメダ活実践中。

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