公開日: 2023.11.20 最終更新日: 2023.11.24

壁面のリノベーションでお部屋がお洒落に激変。壁の種類や素材の活用方法をプロが解説!

壁面のリノベーションでお部屋がお洒落に激変。壁の種類や素材の活用方法をプロが解説!

壁の一面だけを柄物にすると、空間に奥行きが生まれる

「お部屋がなんだかパッとしない」「お洒落にリノベーションをしたいけど、大規模なものではなく、簡単にやりたい!」そんな方のために、今回は壁面リノベーションの種類や費用などをご紹介。仕上げひとつでお部屋の雰囲気ががらりと変わるので、ぜひチェックしてみてください!

Smau design(スマウデザイン):大景祥

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01| 壁面リノベーションの種類

壁のリノベーションといってもその種類は様々です。場所や用途、使い方や活用方法によっても変わるかと思いますので、まずは種類別にご紹介していきたいと思います。

アクセント壁

文字通り、壁面仕上げにアクセントをつけることで、空間に立体感を出すことができます。

例えば、基本的な壁紙は白色にして、締まった色の壁紙やお洒落な壁紙を壁一面にだけもってくる。そうするだけで、お部屋にまとまりができ、素敵にみえます。色柄を変えてもよいですし、タイル等で素材感を加えても雰囲気が全く変わってきます。比較的簡単にできるので、コストを抑えたい方は一番取り入れやすい方法かもしれません。

アクセント+壁面収納

壁面にお洒落さと収納力とを加えた壁面活用方法。アクセントデザインを採用しつつ、壁面収納もつくります

収納棚を置くだけだと味気ない空間になりがちですが、アクセントをプラスすることで、お洒落な収納壁面をつくることが可能です。ただし、建物構造や壁下地の有無によっても施工方法が変わってくるので、事前チェックが必要です。費用はアクセント壁面に比べるとアップするので、必要に応じて検討してみてください。

採光などを考慮した機能性壁面

次に紹介するのは壁面に機能性を持たせる方法。うす暗い場所であればFIX窓(はめごろし窓)やガラスブロックを壁面に設置するだけで明かり取りになり、明るく開放的なお部屋に。キッチンや物置、各室の間仕切り壁には、小窓をつけるだけで通風ができ、お部屋全体に気の流れを作ることが可能になります。このように、ただの壁が居心地のよい空間へと変化させてくれるのです。

ただし、プライバシーの観点や施工可否の判断など、充分な確認とプランニングが必須になってきますので、専門の方に相談することをおすすめします。

02| 仕上げ素材別のメリット・デメリット

アクセント壁面のリノベーション方法についてフォーカスを当てていきたいと思います。素材の種類と、素材別のメリットやデメリットをご紹介します。

王道の壁紙

建築業界の仕上げ材で一番採用されている壁紙(クロス)。おそらくほとんどのご家庭の壁仕上げ材として使用されているのではないでしょうか。

壁紙と言っても種類も様々で、紙製・ビニル製・布製など沢山の種類があります。その中でも機能性壁紙といって表面加工が施されたもの、例えば調湿性・防汚性・耐キズ性のあるものなど、実は壁紙には何百、何千と種類があるのです。ちなみに一般家庭で採用されているのは、「ビニルクロス」とよばれるビニル製の壁紙です。

施工方法は簡単で、既存の壁紙を剥がして新しい壁紙に貼り替えるだけ。壁紙下地の状況によって、パテとよばれる下地調整材を塗りつけて滑らかにする工程が必要になります。工事期間は概ね一日で完了しますので、住み続けながらでも簡単に作業を行うことが可能です。

  • メリット

    ・比較的安価で手間がかからない

    ・機能性壁紙は拭き掃除などお手入れがしやすい

    ・種類が豊富

    ・気分に応じて何回でも貼替えができる
  • デメリット

    ・どれだけ綺麗に使用しても20~30年前後で経年劣化がおこる

    ・比較的キズに弱く目立ちやすい

    ・接着剤に有害物質(ホルムアルデヒド)が多少なりとも含有されている

自然素材で健康に! 左官壁

中央にガラスでアクセントを入れた左官壁 中央にガラスでアクセントを入れた左官壁

次にご紹介するのは左官壁(=塗り壁)です。1950年代まで、日本にはまだ壁紙が広まっておらず、左官壁が一般的でした。そんな左官壁もここ70~80年前で出てきた新建材の壁紙に変わり、近頃はあまり姿をみなくなりました。

左官材の種類としては、古来から使用されているしっくい壁・土壁のほかに、珪藻を主原料とした珪藻土火山灰を主成分としたシラス壁等、現在では多くの製品が生み出されています。

構造や下地・左官材料によっても工程が変わりますが、大体のものは既存の壁紙や左官壁の上から上塗りすることが可能です。ただし、雨漏りや水染みなどがある場合は防水処理カビや汚れが目立つ場合は灰汁止め処理壁紙の劣化の場合はめくり等の作業が必要になってきます。工事期間は、乾き具合によっても変わりますが、大体1週間前後必要になります。

職人さんの手仕事が感じられる 職人さんの手仕事が感じられる

最近ではDIY商品でバケツに入った左官材が売られていて、ネットで簡単に購入できるので、時間に余裕があり自然素材を取り入れたい方左官壁一択です!

  • メリット

    ・同じ材料でも塗り方(こてのタッチ)によって表情を変えられる

    ・調合次第で唯一無二の仕上げが可能

    ・調湿性、吸音性、断熱性、防火性に優れる

    ・アレルギーやアトピー対策に効果的
  • デメリット

    ・呼吸をする材料のため、伸縮によるクラック(ひび割れ)がおこる場合がある

    ・乾燥させて塗って乾燥させて、と工程の多く工期と手間がかかる

    ・費用が多少かさむ

    ・自然素材のため天候の影響を受けやすい

    ・調合によって仕上がりがかわるため、業者さんとの入念な確認が必要

素材感を楽しむ! タイル壁

湿度が調整できるエコカラット 湿度が調整できるエコカラット

「タイル壁」には馴染みのある方が多いかもしれません。一時、タイル壁は姿を消しましたが、約25年前にLIXILが開発販売した「エコカラット」が人気を呼び、近頃ではリビングや玄関先の一面にアクセントタイルを選ぶ方も増えています。タイル材においても種類や素材が多くあり、配置場所によってきちんと選ぶ必要があります。

タイル壁の施工は大変だと思っている方が多いと思いますが、実はそうでもありません。既存の壁紙の上からでも施工ができ、1~2日程度で貼付けが完了します(タイルの種類によっては下地が決められているので、事前確認が必要です)。可愛いタイルやシックなタイル、武骨なタイルなど、お好みのテイストによって選べば、自分だけの空間に早替わりです。

タイルを貼ることでそれまでとは違う表情が生まれる タイルを貼ることでそれまでとは違う表情が生まれる

DIY商材用のタイルで裏にテープがついてあるものやネット糊が付いてある製品など、貼るだけで簡単に完成する製品も多く出回っているので、コストをかけずに取り入れてみたい方におすすめです。

  • メリット

    ・耐火性、防水性が高い

    ・耐久性が高くキズが付きにくく、寿命も長い

    ・拭き掃除だけでお手入れが簡単

    ・凹凸があるため照明との組み合わせで立体感を演出できる

    ・意匠性が高く高級感を演出できる
  • デメリット

    ・衝撃で割れが起こりやすい

    ・初期コストが壁紙に比べてかかる

    ・色や素材によっては寒く感じる場合がある

    ・目地(タイル同士の隙間)の汚れが目につきやすい

超簡単! 塗り壁

一番オーソドックスな方法がこちらの塗り壁。木部、鉄部、左官壁、タイル等、ほとんどの既存仕上げのうえから塗ることが可能なので、高い施工性が魅力です。

コストも比較的抑えられ、安価なものであれば塗料材料も数千円で購入できます。職人さんに施工してもらう場合は大体1~3日で完了。ご自身で塗られる場合でも2~3日あれば十分に終えられるかと思います。

一番大事な作業が養生作業なので、養生をどれだけきっちりするかで仕上がりも変わってきます。ただし、素材によっては下地処理が必要なので、工期と予算を多めに見積もっておく方がよいでしょう。

  • メリット

    ・好みの色に合わせてカラーを選べる

    ・独特な素材をつくりだすことができる

    ・余分な廃材が出ない

    ・容易に塗り替えができる
  • デメリット

    ・乾くまで匂いが残る

    ・汚れが目立ちやすい

    ・下地処理が必要になると費用がかさむ

番外編! リメイクシート貼り

最近テレビでも紹介されているのがリメイクシート。100円均一のお店やホームセンターでも容易に手に入れることができ、安いものだと数百円から購入できます。施工方法は簡単。貼りたい面に合わせて寸法カットをし、裏紙をめくって貼るだけ。種類によっては貼り跡が残らず賃貸にも使用可能です。

  • メリット

    ・コスパが最強

    ・種類が豊富

    ・貼るだけなので余計な手間がかからない

    ・細かい作業が苦手な方でも簡単に貼り付け可能

    ・簡単にはがせるので何も考えずに貼れる
  • デメリット

    ・壁紙に比べると耐久性が劣る

    ・サイズのバリエーションが少ない

    ・貼る場所によっては簡単にはがれてしまうことがある

    ・貼れる場所が限られる(木部・ガラス面・壁紙など)

03| 施工事例と費用相場

事例①:床の間の背面にアクセントを

単調になりがちな床の間の背面だけ壁紙にアクセントをつけた事例。より奥行き感がうまれ、空間に品が感じられます。

  • 素材:壁紙
  • 施工費用:約4~5万円
  • 工期:1日

事例②:エコカラットで高級感をプラス

リビングダイニングの壁面にアクセントタイルを貼り込んだ事例。面積の広い壁面には、大判タイルを採用することで臨場感と高級感を感じられるようにしました。

選定したのはエコカラットと呼ばれるタイル。調湿性・抗アレルギーに優れ、健康にもよく、家族みんなが集まるリビングにはもってこいです。

  • 素材:機能性内装タイル
  • 施工費用:約40万円
  • 工期:3日

事例③:土壁で世界にひとつの空間を

マンションの玄関の一面に土壁を塗った
藁スサを混ぜているため、照明による陰影で立体感がうまれ、温かみのある表情をつくることができます。

  • 素材:土壁
  • 施工費用:約25万円
  • 工期:8日

事例④:ペンキ塗りで愛らしい空間に

最後に紹介するのは、部屋の一面をペンキ塗りで仕上げた事例です。コストを最大限抑えるために壁紙(ビニルクロスペンキ)のうえから塗る方法を採用しました。塗り材独特のマットな風合いが、色そのもののよさを最大限引き出してくれます。

  • 素材:ペンキ塗り
  • 施工費用:約4万円
  • 工期:1日

04| まとめ

ただの「壁」といえど奥が深く、様々なしつらえ方があります。なかなか一歩が踏み込めないお部屋の改造計画も、壁リノベーションなら気軽に行動に移せるはずです。今回ご紹介した内容を踏まえて、是非このタイミングで居心地のよい空間へアップデートしてみてください!

大景祥

この記事を書いた人

大景祥 Smau design(スマウデザイン)

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