公開日: 2022.12.22 最終更新日: 2023.10.26

収納と防災のプロが伝授! 失敗しないローリングストック術

収納と防災のプロが伝授! 失敗しないローリングストック術

暮らしながら備えることができるのが、ローリングストック

‟1週間、家にこもって生きられますか?”

毎年、大きな災害が起きています。ここ数年は温暖化の影響で水害や台風の被害が大きくなっていますが、これは確実に今後もやってきます。もう、私たち人間が対応していかないといけないのです。

そう覚悟を決めたら、まずやることは「備え」。最低でも1週間は自力で生き延びないといけません。

「備え」にも様々なものがありますが、今回は「食べ物」について紹介したいと思います。

防災収納インストラクター:松永りえ(mujikko)

防災収納インストラクター:松永りえ(mujikko)

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01| ローリングストックで備蓄する

無印良品のポリプロピレン頑丈収納ボックスは、備蓄にぴったり 無印良品のポリプロピレン頑丈収納ボックスは、備蓄にぴったり

食料を1週間分備蓄してください。

と言われたら、あなたは何を準備しますか?

缶詰やアルファ米、乾パンなどの非常食を買う!

という方が多いのではないでしょうか?

もちろんそれも正解なのですが、気合を入れて非常食を準備しても、口に合わなかったり、乾パンは硬すぎて食べにくかったり。いわゆる非常食と呼ばれるものは、少し無理して食べないといけないですよね。

災害時はただでさえストレスフルの状況ですから、せめて食べ物だけはホッとできるものであってほしいと思います。

また、ネックなのが金額。非常食は通常の食品と比べると高価なので、一気に買い揃えるとなるとかなりの金額がかかってしまいます。それが備蓄のハードルを上げてしまっていると私は考えています。

そこで、おすすめなのが、これらの問題をまるっと解決してくれるローリングストックです。

ローリングストックという言葉、ここ数年でよく耳にするようになりましたよね。簡単に説明すると、ローリング(回転)させながら、ストック(備蓄)していくこと。今回はローリングストックについて、おすすめの方法とわが家の実例まで詳しく紹介します。

02| そもそもローリングストックって何?

ローリングストックは、

1.普段食べ慣れてる食品を少し多めに購入する
2.賞味期限の短いものから順番に消費する
3.食べた分だけ買い足す


日常の中でこのサイクルを回すことで、備蓄しながら普段の生活もできます。わざわざ非常食を買い揃えなくても、普段から意識できる防災です。

03| ローリングストックにはメリットがいっぱい!

食欲がないときの栄養補給にもなる野菜ジュースは、災害時の頼もしい存在 食欲がないときの栄養補給にもなる野菜ジュースは、災害時の頼もしい存在

ローリングスストックは備蓄以外にもメリットがあります。

メリット①管理がしやすい

非常食を備えている人でも、見直しするのはだいたい年に1~2回ですよね。数年に1回という人もいるかも?

非常食がたくさんあればあるほど、管理も大変です。そして、賞味期限の切れそうなものを“がんばって”食べていませんか? ローリングストックなら普段からよく目にしているので、どこに何があるかがすぐにわかりますし、残量も把握しやすいです。基本的に、日常的によく食べるものをストックしているので、がんばって食べる必要もありません。

メリット②食べ慣れたものが食べられる安心感

いざ災害が起こってしまったときでも、食事はしないといけません。ただでさえ不安でいっぱいの中、食べ慣れないものを食べないといけないとなると、さらにストレスを抱えることに……。

大人は我慢できたとしても、子どもは食べてくれないこともあります。普段食べているものなら、安心して口にできますし、大好きなものならそれだけで幸せを感じられるんです。

ぜひお気に入りのものをローリングストックに入れてほしいなと思います。最近の非常食はおいしくなっているとはいえ、やはり食べ慣れたものにはかないません。

メリットその③アレルギーにも対応

災害時に問題になるのが、食物アレルギーのある方の食料です。避難所での支援物資や炊き出しでは、アレルギーのことまでは対応できないのが現実。食べられるものがない……という事態は避けたいですよね!

そのためにも自分で備えておくのが得策です。普段食べている日持ちするものを、ぜひローリングストックしておいてください。

04| ローリングストック成功のポイントは?

段ボールのままだと使いづらいので、できればケースやカゴなどに移し替えるのがおすすめです 段ボールのままだと使いづらいので、できればケースやカゴなどに移し替えるのがおすすめです

ここ数年でローリングストックが世の中に浸透してきたので、実際にやってみたという人も多いと思います。その一方で、うまくいかなかったという声も多く聞きます。

失敗の原因は主にこの3つ

  • 足りない!
  • 余って賞味期限が切れる!
  • 疲れる……。

思い当たることはありませんか?

非常時も頼りになる、長期間保存可能なロングライフパンも備えています 非常時も頼りになる、長期間保存可能なロングライフパンも備えています

ポイント①足りない!という方は

「足りなくなる」のは、つまりストックの量が足りていないということ。収納に余裕があるなら、もう少し増やすことをおすすめします。

また、買い足すのを忘れてはいませんか?いざというときに後悔しないためにも、買い物メモを書いたり、インターネットを活用したりするのもおすすめです。

ちなみに私はAmazonで何かを買うついでに食品を買うことが多いです。家にいるので何が足りないかがすぐに確認できますからね。

ポイント②余って賞味期限が切れる!という方は

「余って賞味期限が切れる」のは、逆にストックが多すぎる可能性があります。消費が間に合っていないので、もう少しストックを減らしてよさそうです。

あるいは賞味期限が短いか、そもそも普段そんなに食べないものをストックしてしまっているのかもしれません。食べ物の好みも変わりますからね。賞味期限の長いものに変えたり、そのストックが必要かどうか見直ししたりしてみてください。

ポイント③疲れる!という方は

「疲れる……」という人はストックが多すぎるのかもしれませんし、収納場所があちこちバラバラになってしまっていて、把握できてないかも?

せっかく始めたローリングストックも機能しないと意味がありません。うまく日常で回すためには、がんばりすぎないのもポイントです。

05| わが家のローリングストック

インスタント麺、フリーズドライのスープ、レトルトカレーなどはローリングストックに最強です インスタント麺、フリーズドライのスープ、レトルトカレーなどはローリングストックに最強です

私が実践している、「疲れないローリングストック術」を紹介します。

  • よく食べるものはキッチン横の棚へ
    ストックするケースは深すぎないものがおすすめです。深いと埋もれてしまいます。
  • 1つのケースに同じジャンルのものを入れる
    これで探す手間も省けますし、残量もわかりやすいです。
  • 補充するときは基本的に奥に入れる
    買い足したものを奥にいれることで、自然と手前に賞味期限の短いものがきます。手前からとって食べるだけで上手く回っていきますよ。

ベッド下の隙間を活用。キャスター付きの収納ケースを使うとスムーズに取り出せます ベッド下の隙間を活用。キャスター付きの収納ケースを使うとスムーズに取り出せます

また、わが家は4人家族。キッチンの棚だけでは収まらないので、消費頻度が中程度のものなどはベッドの下に収納しています。賞味期限の長いものなら、このように別の場所にしまうのもおすすめですよ。

左上に写っている絹とうふは常温・長期保存が可能なもの 左上に写っている絹とうふは常温・長期保存が可能なもの

ちなみに豆腐やミルク類も常温保存できるものがあることはご存じですか?非常食にも日常食にもなる食品はとても増えています。ぜひ、スーパーなどに行ったときにチェックしてみてください。

ローリングストックはポイントを押さえることで上手に回すことができます。最低でも1週間は家にこもれるくらいの量があれば大丈夫! 日々の暮らしにも安心感が生まれますよ。ぜひ、よく食べるものを選んで、ローリングストックしてみてくださいね。

松永りえ(mujikko)

この記事を書いた人

松永りえ(mujikko) 防災収納インストラクター

整理収納コンサルタント、防災士、防災共育管理士認定講師。無類の無印良品好きとしても知られ、instagramのフォロワー数は7万人超え。2016年の熊本地震で被災したのをきっかけに「防災収納」を広めるため、テレビ、セミナー、執筆など幅広く活動中。著書に「もしもに役立つ、いつものモノ選び」(Mdnコーポレーション)など。

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