都心にありながら約226,232平方メートルという広大な敷地を有する石神井公園は、練馬区が誇る憩いの場。季節を問わずたくさんの地元民が訪れ、まるで自分の庭のように思い思いに過ごしています。また石神井公園駅から池袋駅までは急行電車で約10分というロケーションのよさに加え、さまざまなお店や施設が充実しているのも特徴です。
今回から3回に分けて、練馬区在住歴20年というライターが、石神井公園エリアの魅力を紹介します。
ライター:鈴城久理子
01| 石神井公園ってどんなところ?
街を眺めながらボート遊びを楽しむことができます。近隣の瀟洒な家々に憧れる方も多いはず
石神井公園エリアを満喫するなら、まずは公園散策から始めたいもの。石神井公園についての豆知識を少し頭に入れておくと、散策の楽しみが倍増します。
公園内で配られているリーフレットによると、三宝寺池と石神井池の二つの池を中心に構成されていて、豊かな自然と石神井城跡などの史跡や武蔵野のおもかげが多く残されている公園です。石神井池ではボート遊びを楽しめて、公園内では花見や紅葉、貴重な植物、野鳥などの四季の景観を堪能することができるそう。
02| 公園内を散策してみよう
東京やきもち
石神井公園はもちろん、他の都立公園でも楽しめるおだんご。名前は東京やきもち
豆知識を頭に入れたらさっそく公園散策開始! と思いつつ、今日はボート乗り場のそばにある売店、パークス石神井公園に立ち寄って、歩く前にちょっと腹ごしらえ。昔ながらのアメリカンドッグにも心惹かれますが、かわいいのぼりに誘われて、東京やきもちのくるみ入りみそ味のりまきをオーダーしました。
のりのマントをまとったおだんご。ちゃんと顔も描いてある!
店内で待つこと約1分。登場したのは、くるみ入りみそがたっぷり塗られた愛らしいおだんご。炭火焼の香ばしさと、パリッとしたのりの風味が絶妙です。ひと粒が思いのほか大きくて、一本平らげたらおなかも大満足。腹ごしらえをしたところで、散策スタート。
石神井公園池にある懐かしのスワンボート
久しぶりに乗ってみたくなるスワンのボート
入口でちょこんとスタンバイしているスワンを見ていたら、ついボート乗り場に足を踏み入れたくなってしまいました。かわいいスワンボートのほか、ローボート、サイクルボートの三種類のなかから選べます。料金表によると、ローボートが500円、サイクルボートが700円、スワンボートが800円と、種類によって料金が異なるようです。
もしかして、SNSで激レアと話題のブラックスワン!?
石神井池脇の歩道を歩いていると、愛犬を連れた人やベビーカーを押すママたちに出会います。知らない相手なのに「こんにちは」とあいさつしたくなるのも、豊かな自然に囲まれた環境のせいかもしれません。そして池に目を向けると、めずらしいと噂されているブラックスワンが! 思わずシャッターを向けてしまいました。白いスワンとは打って変わって、ちょっと大人っぽい印象。運よく乗れた人は本当にラッキーですね!
池ではさまざまな水鳥が悠々と泳いでいます
公園内では季節ごとにさまざまな水鳥を観察することができます。まるでパンダのような黒と白のツートーンカラーは、カモ科のキンクロハジロ。「フェ フェ グェ グェ」と泣くのだそう。いつもはなんとなく見逃してしまう看板の説明書きを読むと、知識が深まってより公園に対する愛着が湧いてきます。
仲よく並んでどこに行くの? あっという間にスイスイ泳いで行ってしまいます
公園内ではキンクロハジロのほかにもカワセミやオナガガモ、ヒドリガモ、オオバンなどを見ることができるのだそう。池のそばではカメラを構える人も多く、みなさん息をつめてシャッターチャンスを狙っていました。
池ごしにのぞむ休憩所の豊島屋
石神井池沿いをのんびり進んでいくと、井草通りにさしかかります。通りを渡ってちょっと歩くと、見えてきたのは三宝寺池。この周辺には国の天然記念物である沼沢植物群落をはじめとした豊かな自然が広がっています。続々と人が入っていくその先にあるのは、休憩所の豊島屋さん。数年ぶりに訪れたのに、昔ながらのその佇まいは一向に変わりません。
昭和を感じるカレーライス
おだんごを食べたばかりなのに、カレーライスを注文。優しい味でザ・昭和の味という感じ
メニューはラーメンやうどん、親子丼などスタンダードなものばかりですが、ここの料理を目当てにくる人も少なくありません。店内は撮影不可のため、外のベンチ席に座り、お店の人の許可を取って料理だけ撮らせてもらいました。頭上ではちょうちんが揺れ、とても懐かしい気持ちになりました。
店頭では駄菓子も販売。童心に帰ってノスタルジックな味を満喫
このお店は料理だけでなく、店頭にずらりと昔ながらの駄菓子が並んでいるのも特徴。迷いながらも、子どもの頃に楽しんだラムネをさっそくゲット。パッケージも懐かしい!
静かな三宝寺池周辺を散策
池の上で四方に枝を伸ばす木々の姿は、なんとなく人間的な雰囲気さえ感じられます
食事のあとは、三宝寺池周辺を散策。石神井池ではボートに乗ることができて賑やかですが、こちらの三宝寺池周辺は静かでとても落ち着いた印象です。
国指定天然記念物の三宝寺池沼沢植物群落の石碑と看板
リーフレットによると、三宝寺池沼沢植物群落は、昭和10年に国の天然記念物に指定されたのだそう。池の中にある浮島を中心に、ミツガシワ、カキツバタ、コウホネ、ハンゲンショウなどの親水性植物が群落をなしています。
練馬区にもかつてお城があったことを改めて認識しました
三宝寺池をぐるっとまわったら、公園散策も折り返し。今日のもう一つの目的は、東京都の史跡に指定されている石神井城の主郭跡を見ること。石神井城は室町時代の1477年に太田道灌に攻められて落城し、その後破却されたと伝えられているそう。長らく練馬区民をやっていながら、こんな大切な歴史を知らなかったとは、お恥ずかしい次第です……。
ひときわ目を引くマンサク科のベニバナトキワマンサク。ちゃんと名前が書いてありました
春には桜を見に来る人があとを絶ちませんが、ほかの季節も美しい花が咲き誇ります。ソメイヨシノやヤマザクラ、またコブシや水面に彩りを添えるカキツバタやスイレンの花なども楽しむことができます。
花の名前はわかりませんでしたが、黄色の花があちこちに
自然のままの草花や水鳥を観察しつつ、おなかも大満足の石神井公園散策。ゆっくり歩いても2、3時間あればたっぷりと楽しむことができます。石神井池から三宝寺池へ向かうコースと、折り返して反対に進むコースでは、目に入るものが全く違うのも広大な公園ならでは。次はいつ来よう? と考えながら、帰途につきました。
石神井公園
所在地:東京都練馬区石神井台1・2丁目、石神井町5丁目
問い合わせ先:石神井公園サービスセンター
電話:03-3996-3950
03| まとめ
石神井公園エリアのプロローグともいうべき公園散策、いかがでしたか? vol.2では地元民が愛する飲食店や雑貨店を紹介します。
この記事を書いた人
鈴城久理子 ライター
雑貨紹介や料理、インテリアなど暮らし系の記事を中心に執筆することが多いライター。ただいまメダ活実践中。